陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第四十一話「消えた妻の謎」

昔の同僚から電話がありました。

友人の奥さんが消えたので見てくれないか、と。同僚の話では、奥さんは法事で実家に帰った後、行方知れず。わたしは直接その同僚と友人に会うことにしました。 まずご主人を視たところ白い鳥が頭の上を旋回、時おり彼の髪を引っ張る、また背後霊が彼を大事そうに、また心配そうに見つめ、守護霊が強く密着していました。何か今、彼が努力しなければいけないことがあるのだ、と感じました。

ご主人曰く「妻は伯父さんの法事で実家のある函館に帰省、実家に着いた晩や法事の後「少し様子を見てから帰る」と連絡があって以来、連絡が取れずスマホも電源が切れているとのこと。お義母様に聞いてみたら「法事の2日くらい後いなくなり、そっちに帰ったと思っていた、と言われた」そうです。こっちには帰ってきていませんと言い、いつ新幹線に乗ったとか分かりますか?と聞いても「知らない」と。奥様と連絡が取れなくなりすでに数日。友だちのところに寄っている?とも思ったそうですが、それならそうで連絡をくれるはず。途中で事故に巻き込まれたのでは、と北海道内の事件事故をネット検索するも特に奥様に該当するものはなく、もう少し様子を見るか考えたそうですが、遅すぎると決断、ご家族に捜索願いを出しましょう、と言ったそうです。ところが、お義母様が「そんな大げさなことしなくても!どこかに寄っているんでしょ」と反対。

それから2、3日後、再び奥様の実家に電話をしてみると、お義母様が出られ、「娘はしばらく帰らない、と連絡してきた」と。だんだんお義母様の言動がおかしく感じられてきて「やはり捜索願いを出します、これだけ連絡がとれないのはおかしいです!」と言うと、お義母様が激怒「娘の勝手にしてやって!大の男がこのくらいことで騒ぎ立てるな!」。これが決定打となり、これは身内に何かある、彼はそう思い「そういえば」とわたしのことを思い出し、元同僚を通して相談を持ち掛けてきたと言うのが事の次第でした。

「ご主人同様、奥様の頭の上を白い鳥が飛び回っています。奥様の身長はあなたと同じくらい高い。奥様はその身長くらい大きなクマのぬいぐるみを持っています」霊視結果を聞き、ご主人はびっくりしてこちらをあんぐりと見ました。「あと、旦那様の迎えを待っているようです、とても愛しく淋しく待っています」「鳥はきっと、うちにいるインコです、白です。ぬいぐるみは彼女が大事にしているものです」。そして「奥様はどこかの施設…病院の門の前に座り込んでいます。その大きなクマさんを抱えて、ここから遠い、まだ北海道内、あなたを待っています。そのインコもあなたと奥様を心配しているのでしょう。あなたを奥様の元へ連れて行こうとあなたの髪を引っ張っています。もう一度ご家族に聞いてみてください。絶対知っています。言いづらいことがあるのかもしれません。」

それから、わたしは一度躊躇しましたが、ご主人に伝えることにしました。「奥様には餓鬼が憑いています」。餓鬼とはどういうものなのか、動揺しないよう説明し、お祓いや供養が必要であることも伝えました。また、さらに霊視し、「お二人ならまだ困難に立ち向かえる、奥様を受け止めてください。許せないことかも。でも一度は飲み込んであげてください。手を離さないで。彼女は問題から逃げようとしていますが、一緒に闘ってあげてください」と。彼は何のことだろうと眉間にしわをよせ、しかし重く「はい」と言い、わたしたちは解散しました。

それから一週間ほどして、彼から連絡がありました。

奥様はアルコール依存症で、専門の病院に入院させられていたそうです。お義母様は、娘の言動がおかしい、法事前後にやたらアルコールを口にする娘を下品に思い「みっともない」と言ったそうですが、娘は「うちはいつも2人でビール飲んでるよ、たいしたことない」と。しかし夜中、娘の荷物を確認すると焼酎、ウィスキーが!翌朝「お母さん!人の荷物見たでしょ、どこにやったの!」と娘は激怒し、お義母様は「全部捨てた」と。その時点で娘の気がおかしくなり、わめき、酒を求め、その後3度もバッタリと倒れ、お義母様は近所の目に留まらぬようタクシーで娘を近所の総合病院の救急に。「てんかん」でICUに3日眠ったままだったそうです。彼女の幼少期に「てんかん」はなく「アル中によるもの」だと判断、「脳萎縮も進んでいる」、その後すぐに医師が薦める専門の病院に移され、拘束され、それを見ていてお義母様は「なんてこと!」と、娘の心配より「恥ずかしさ」が先に立ち、誰にも言えなくなった、と。

彼がお義母様に教えらえた病院に行くと、正門で妻が白クマを抱えうずくまっていたそうです。彼女はすでに2回、夜中の逃亡を図っており、そのたびに拘束室に入れられ、今度逃亡したら「強制退院」。彼女は「ごめんなさい」と泣きじゃくり、彼は現住所近くの専門病院に入院させ直しました。

彼は病院の進める「依存症家族会」に何度か参加し、自分も断酒し、彼女を見守っていくことを決意したそうです。せっかく「夫婦」になったのだから、きっと自分にも責任がある。そう、それが彼の背負っている「業」。前世の自分、逃げてきた自分が背負うものが「結婚」「妻」という形になったのです。しかも奥様には「餓鬼」が憑き、家事を完璧にしている奥様がまさか「餓鬼」のせいで餓鬼の大好物「昼寝」をし「喉を潤し」ていたとは知る由もなく。彼女は「法事」という「感謝し、お礼を伝える」大事な行事の最中でも餓鬼に勝てず、感謝するどころか隠し酒を飲み満足、ご先祖様にたいへんな失礼をしました。また、彼は仕事のせいとはいえ法事に足を運べなかった、これは餓鬼のせいで障りが出たのです。

無信仰の彼らにわたしは「一番近くの神様」を一度きちんと拝んでください、と話しました。まずはその神様に「日頃のお礼」「今後の決意」を伝え、見守っていただけるようお願いしましょう、必ず強く力を貸してくれます、と伝えました。それから一般の方でもできる「餓鬼の供養」をお教えしようと思いましたが、まだ万全でない彼らには危険、わたしが供養させていただきました。心身が衰えている時、むやみにお祓い、供養をすると逆に邪霊が近づきます。そういう時はプロに任せるのが一番です。

尼子の百物語 / 第四十一話「消えた妻の謎」