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イタコが切る!愛の縁切り実録

第十九話「気があるように見せる宗教勧誘の同級生女子」

人との出会いはすべてが有益というものではなく、人生の落とし穴となるような出来事に遭遇する出会いもあります。一歩道を間違えるとその先は後悔の連続。どこで間違ったのかと途方に暮れてみればあのときの出会いがすべての発端だったと今にして思うことも。

あなたに近づいてくる人のすべてが好意的であるとは限らないのです。それは一見恋愛対象と思える人であってもです。恋愛という一途になりがちなものだからこそ、よく見極め、つまらないトラップに嵌まらないよう注意すべきです。

先日、相談を受けたのは明弘さん(29歳)。お話を聞いているとこれまでこれといった恋愛経験がないとのこと。ですが話しぶりからは誠実さが伝わってきて、コンプレックスになりがちなことも包み隠さず話すあたりも自分を客観視できていて人間的には申し分ない人だとの印象を受けました。

明弘さんからの悩みは以下の内容でした。

ある日突然中学校の同級生の女子が家に訪ねてきて今度地元に有名なミュージシャンのミニライブと講演会があるから行かないかという誘いを受けました。その同級生の女子とは中学生時代、同じクラスになったこともなく、ろくにしゃべった記憶もない人でした。だけど妙にフレンドリーで「ちょっと気になって元気にしてるかなって」といった切り口で気さくな感じとのことでした。明弘さんにしてもお互いいい大人だし、中学時代の思春期の気恥ずかしさもなくなったからこその振る舞いなんだろうなと思うようにしたといいます。

そしてそのイベントに行ったところどうやらある宗教団体のイベントだったということがわかりました。当然のごとく明弘さんも同級生の女子のほか数人に取り囲まれ、入信の勧誘をされたのでした。明弘さんは今すぐには決められないと態度を保留する形でその場は逃げたのですが、その後も同級生女子からの接触は続きました。

お互い犬を飼っていたこともあり、近くの公園を散歩したあとドッグカフェでお茶をしてそれなりに仲を深めていったのでした。同級生女子は明弘さんの仕事の頑張りを褒めてくれたり、将来の方向性を「絶対うまくいくよ」と励ましてくれたりとポジティブな印象を与え続けてきたのでした。明弘さんも正直まんざらでもなかったのです。いままで異性と親しく接することがなかったので話をするだけでも新鮮な感覚で、快い時間ではあったのです。ただそのままの関係でいるはずもなく、折を見ては宗教の勧誘をちらつかせてくるのでした。「一緒に夢に向かって頑張ろう」。キラキラした瞳で訴えかけてくるのです。

明弘さんは正直ぐらついたのでした。付き合っているわけではないですが入信すればその関係になるのではないか。これも何かの縁だし……。ただそこですぐに一直線にいかないところが、恋愛経験のないアラサー男性の良識ともいえるものでした。今までモテなかった自分が何でこんな状況になっているのか。第三者の意見を聞きたい、そんな思いから私ども尼子を頼ってきたのでした。

さっそく霊視鑑定してみました。お相手の同級生女子の本心は……。淀みがかった空気が立ちこめ、思わず眉間にしわを寄せてしまいました。彼女の本心は恋愛感情なんてこれっぽっちもなく、勧誘することで宗教団体での地位を上げたいというものでした。ただ宗教への崇拝はすさまじく、入信すれば明弘さんも幸せになれる、何なら本当の彼女も見つかるものだと本気で思っているようでした。詰まるところ「信じれば可能になる」というメンタリティです。明弘さんに、こうした霊視の結果を話すと多少気落ちした様子でしたが納得したようでした。自分のことを本気で思ってくれているわけではない。それがわかって気持ちが晴れたようでした。

もうひとつささやかながらアドバイスをさせてもらったことは、まずはきっかけを作った相手に好意を寄せてみようということでした。職場、趣味の集まりなど、会話から相手を知り、自分を知ってもらうことから始めるべきと。そのなかで自分への好意は自ずと見えてくるのです。いい大人なのですから変な駆け引きは無用です。自然な流れで接してみてこの人いいなと思うところがあるか、心動かされる何かを持った人であるかどうか。感じ取ってみることが必要です。

明弘さんは誠実さがにじみ出た、純朴な男性です。よからぬ策略に惑わされて欲しくない思いから、ついつい熱が入ってしまいました。絶ち切りの祈祷も行い、彼女が近づかないように念を送りました。ただもう明弘さんにその気がないのでそれ以上の懸念はありませんでした。あとは明弘さんが新しい恋を見つけるだけです。人生のふとした迷いに答えを導くことができてほっとしたご依頼でした。

イタコが切る!愛の縁切り実録 / 第十九話「気があるように見せる宗教勧誘の同級生女子」