第十五話「職場の同期」

職場で正当な評価をされ、活躍が認められることはとても喜ばしいことです。しかし、羨望と嫉妬は表裏一体。思いも寄らないところで反感を買い、敵を作ってしまっているかもしれません。

今回お電話をいただいた梨沙さん（26歳）もその一人でした。梨沙さんは、ある広告代理店に勤めています。ある時、彼女が主導となって手掛けた企画が、有名な広告賞を受賞しました。このことで全社員が集まる中、社内でも表彰され、彼女は皆から拍手喝さいを浴びました。中でも一番喜んでくれたのは、新卒で入社して以来、ずっと仲の良かった同期のMさん。「梨沙は私たち同期の中の期待の星だよ」と、まるで自分のことのように喜んでくれたと言います。

ところが、それからしばらく経って、梨沙さんの周りで良からぬ噂が流れ出したのです。「彼女が賞を受賞できたのは、賞を主催する運営会社の推薦があったからだ」「彼女は審査員の一人と不倫関係にある」など…。もちろん全部真実ではありませんでしたが、あろうことか、彼女と件の審査員が密会している合成写真が、社内の共有チャットにアップされてしまったのです。

追い詰められた梨沙さんが頼ってくださったのが、尼子の電話占いでした。電話が繋がった瞬間、イタコが梨沙さんの背後に見たものは、「調子に乗るな」「お前さえいなかったら…」というおびただしい数の嫉妬の念。その怨念の出どころにいる人物の特徴を伝えると、梨沙さんは小さく「Mだ…」とつぶやきました。

そう、合成写真を使って嘘をでっち上げ、彼女の足を引っ張っていたのは、他でもない親友のMさんだったのです。あまりに強い念だったため、今すぐに縁切りをした方がよいことを伝えましたが、俄かには信じたくないという梨沙さんの想いを尊重し、その日は霊視だけで鑑定を終えました。

そして、3日後に梨沙さんが再びお電話をくださいました。「あれからすぐにMを問い詰めたら、あっさり白状したんです。実は、Mも同じ賞に応募していて、私だけ実力が認められたことが妬ましかったみたいです…」と、梨沙さんは何とも憔悴し切った様子。信じていた親友にひどい仕打ちを受けたのですから、無理もありません。すぐにMさんとの縁切りの祈願を施しました。

後日、梨沙さんからご報告のお便りが届きました。社内のネット解析班により、写真はすぐに合成だったことが証明されました。そして、写真をアップロードした犯人探しが行われ、Mさんは懲戒解雇処分となったそうです。そうして、梨沙さんの身の潔白は無事に証明されました。それにしても、新卒以来お互いを支え合い、切磋琢磨し合った仲であったにも関わらず、何がMさんを変えてしまったのでしょうか。嫉妬の念というものは、本当に恐ろしいものです。