鑑定実例No.07
「都会に出て数年で自死を選んだ娘…。私にできることはなかったのか教えてほしい」愛憐先生
澄川祥子さん(仮名)・56歳・静岡県浜松市・主婦
はじめに。こちらのご相談はご遺族様の許可を取って掲載しておりますが、実際の事件・事故が関係しておりますので、相談時期、具体的な内容などは伏せさせていただきます。
某日。娘さんを自死で亡くされた澄川さん(仮名)という方から降霊のご依頼が入りました。娘さんの当時のご年齢は二十代半ば。高校を卒業すると同時に地元を離れ、東京に出て以来ほとんど音信不通の状態だったそうです。
最悪の形での再会……。さらにその死に顔は自分が知っている娘とは少し違っていました。どうやら整形を繰り返していた様子。「これは私の娘ではないのでは……」あまりのショックにそんな思いも浮かび上がりましたが、現実を受け止めなければならないと思い直し、娘のことをもっとよく知りたいと思うようになりました。
一体娘はどうして自死を選んだのか。私にできることはなかったのか。もしイタコが本当に霊を降ろせるならせめて娘ともう一度ちゃんと話したい。そう思いご依頼されたとのことでした。
詳しい事情を聞きながら事前霊視をする愛憐先生
[愛憐先生]
娘さんは当時、どうして地元を離れられたのですか?
[澄川さん]
とにかく地元が嫌だったそうです。
[愛憐先生]
お友達はあまりいらっしゃらないご様子でしたか?
[澄川さん]
そうですね。小学生のころはとても明るい子で友達も多かったのですが、中学や高校ではあまり周りと馴染めずにいたようです。「みんな田舎者だ」とか「遅れている」とかそんな悪口ばかり言っていました。
[愛憐先生]
思春期になり都会的な感覚に目覚めたということでしょうか。
[澄川さん]
そうですね。実際、個性的な感性の子だったので、田舎っぽい地元は息苦しかったのでしょう。
[愛憐先生]
上京したいという娘さんの希望を反対したことは?
[澄川さん]
何度もありました。いまも絶対に許さなければよかったという後悔があります。やはり娘には地元でのんびりと過ごしてほしい気持ちが強くて。また「東京は怖い」という印象もありましたし……。当時は娘に散々「古い価値観」と馬鹿にされ、家を出ていかれてしまいましたが。
[愛憐先生]
なるほど。喧嘩別れの形で出ていかれたのですね。
[澄川さん]
はい。それからも何度か連絡を取りましたが、連絡してこないでと突っぱねられてしまいました。
[愛憐先生]
わかりました。まず娘さんの降霊は可能です。ただ状況をお聞きするに、とても厳しい言葉を投げかけられる可能性があります。どう娘さんと向き合うかに関してはご相談者様次第ですが、よろしいでしょうか?
[澄川さん]
覚悟しております。よろしくお願いします。
娘さんの口寄せを開始。すると怒り出し手のつけられない状態に……。
[愛憐先生]
お母さん……? 何……?
[澄川さん]
アヤ? アヤなの?
[愛憐先生]
そうだけど、何?
[澄川さん]
あなたともう一度話がしたくてこうしたの。
[愛憐先生]
そう。私は話したくない。
[澄川さん]
そんなこと言わないで。お母さんに話を聞かせて。
[愛憐先生]
イヤ。
[澄川さん]
どうして!?
[愛憐先生]
お母さんはすぐ否定する。普通を押しつける。
[澄川さん]
それはあなたのためを思ってたから。実際こうなったじゃない。あなたが東京に行くのも止めておけばよかったって思ってるわよ!
[愛憐先生]
だから話したくないって言ってるの。放っておいて。
[澄川さん]
アヤ!!
<娘さんの霊が怒り手の付けられない状態に。愛憐先生の意識を一度戻すことにする>
冷静になるよう諭し、再度口寄せへ
[愛憐先生]
……意識を一度戻しました。
[澄川さん]
すみません。つい気持ちが暴走してしまい……。
[愛憐先生]
死者霊は生きている人間よりも感情的です。もし娘さんの本当の気持ちを知りたいのなら、あなたのほうが冷静になられないと対話はできませんよ。
[澄川さん]
申し訳ないです。でも本当に娘でした。驚きました。
[愛憐先生]
口寄せには霊体側の同意も必要です。娘さんは口寄せに応じてくれましたから、本心ではあなたとの対話を望んでいるのです。
[澄川さん]
そういうことなのですね……。
[愛憐先生]
せっかくこうして機会ができたのに親子喧嘩をしても意味がありません。もう一度試してみますので今度はなるべく冷静に、娘さんの気持ちを受け止めてあげるようにしてください。
[澄川さん]
わかりました。お願いします。
降霊二回目にしてようやく親子の冷静な会話が始まる
[愛憐先生]
ちゃんと話す気ある?
[澄川さん]
あるわ。ごめんなさい。冷静になるから。
[愛憐先生]
……わかった。私ももう一度お母さんと話したいと思ってた。
[澄川さん]
嬉しいわ。私にできることはなかったのか教えて欲しい。
[愛憐先生]
なかった。もう詰んでたから。
[澄川さん]
詰んでた?
[愛憐先生]
うん。お母さん東京行くの反対してたじゃない。こうなった今は反対する気持ちもわかる。東京でこうなったらイヤだなと思ってそうな方向にどんどん進んでったから。夜の世界とか。変な男の人とか。悪いこともいっぱいしちゃった。
[澄川さん]
そう……。
[愛憐先生]
(※娘さんの告白。内容は伏せさせていただきます)
[澄川さん]
そうなのね……。でももういいわ。もういいのよ。
[愛憐先生]
何度か私にメッセージや電話くれたじゃない。でも反対押し切って上京してこんなことになってて申し訳なくて、まあ怒られたくない気持ちとか悔しいとかもすごくあって、だから私にはもうお母さんを拒むしかなかった。お母さんは悪くないよ。
[澄川さん]
(※嗚咽してしまい言葉が出ない)
[愛憐先生]
……うん。
[澄川さん]
お母さんに文句とか、昔こうしてくれればよかったのに、とかある? あったら聞かせてほしい。お願い。
[愛憐先生]
「普通にして」っていうのをやめてほしかった。
[澄川さん]
ああ……。ごめんなさい。
[愛憐先生]
学校に居場所がなくても友達がいなくても、家に居場所があればそれでよかった。「普通にして」とか言わないでくれたら、変わった私もこじらせてた私も私でいいって認めてくれてたら良かった。私が東京に行った本当の理由は居場所を見つけたかったから。地元が嫌だったのも居場所がなかったから。居場所があれば東京に行く必要なんてなかった。
[澄川さん]
ごめんなさい……。あなたの気持ちにもっと気づいてあげられてたら……。
[愛憐先生]
いいよ。私もいつまで反抗期やってんだって感じだったし。
[澄川さん]
もっと早くこうやって話ができていればよかったね。
[愛憐先生]
お母さんは真面目すぎるよね。私のことを考えすぎて周りが見えなくなっちゃうの。あの時もそうだった。
[澄川さん]
そうね。そうだわ。
[愛憐先生]
まあ、私もそれを受け継いだから思い詰めてこうなっちゃったんだけど。
[澄川さん]
もっと早く話ができたら……でも話ができて本当によかった。遅すぎたけど、それでもよかった。
[愛憐先生]
そうだね。ごめんねお母さん
[澄川さん]
いいえ私のほうこそ……。
[愛憐先生]
じゃ、私いくね。
[澄川さん]
どこへ?
[愛憐先生]
お母さんのおかげで次へいけそう。ありがとう。お母さん大好きだよ。
[澄川さん]
(※嗚咽してしまい言葉が出ない)
口寄せ鑑定を終えて……
[愛憐先生]
いかがでしたか。
[澄川さん]
ありがとうございました。娘とちゃんと話ができました。本当によかった……。
[愛憐先生]
娘さんも喜んでいらっしゃいました。これで成仏できると。
[澄川さん]
成仏……?
[愛憐先生]
実を言いますと娘さんは不浄霊になりかけていました。自分がどうして自死を選ぶことになったのか……。未練、悲しみ、孤独などが渦を巻いて成仏できずにいたのです。それがご相談者様とのお話によってわだかまりがなくなり、成仏できるようになったのです。
[澄川さん]
娘が行くのはあの世のことだったのですね。
[愛憐先生]
はい。娘さんの魂は霊界に返ってまた別の魂に転生します。
[澄川さん]
よかったです。本当によかった。ありがとうございました。
[愛憐先生]
ですからあなたもこれ以上自分を責めないで下さいね。
[澄川さん]
……いまはまだ難しいですが、どうにか前を向けるように頑張ります。
その後の経過
口寄せから数ヵ月後、ご相談者様からのメール
娘のアヤを口寄せしていただいた者です。ありがとうございました。あれから娘の位牌と骨壺を家のお墓に移しました。それまで娘はうちのお墓に入りたくないのではないかと思っていたのですが、娘の本心はそれとまったく逆であることがわかりましたので。もっと娘の居場所を作ってあげられたらよかったと後悔の連続ですが、前を向けるように努力すると誓いましたので、後悔ではなく、娘が次の生でたくさんの幸せに包まれますようにと祈ることにします。口寄せで話す機会をいただきましたこと大変感謝しております。重ね重ね、本当にありがとうございました。
口寄せ鑑定再録 霊魂との対話 / 鑑定実例No.07