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口寄せ鑑定再録 霊魂との対話

鑑定実例No.05
「墓石の裏に亡き祖父の顔が浮かび上がり…。父とその姉弟の連続死はこれが原因でしょうか?」

秋原沙奈子さん(仮名)・43歳・東京都小平市・主婦

秋のお彼岸の時期、心霊相談としてお申し込みいただいた内容について取り上げさせていただきます。

帰省の際、父方の本家のお墓参りに出掛けたところ、その墓所の区画内で気味の悪い異変を見つけたとのことで、具体的には「墓石の裏側の部分に人間の顔のような模様が浮き出している」という訴えでした。

当初は「単なるシミュラクラ現象(3つの点を含む図形が人間の顔に見える脳の錯覚)」とさほど気に懸けなかったそうなのですが、後日再び墓参したところ、石に浮かんだ顔の輪郭と陰影がさらに濃さを増しているように感じ、しかもよくよく見れば、それは20年以上も前に亡くなった祖父の顔に酷似していることにも気づきました。その場の親戚共々、「思わず凍り付いてしまった」そうです。

またこのご相談者にはたまたま霊感が強い知り合いがいたため、カメラ撮影した問題の箇所をその女性に見せたところ、「恐らく霊的な何かが絡んでいることだから、プロの霊能者に相談した方が良い」と勧められ、当鑑定所へご連絡をいただいたという流れになります。

当事者の秋原様は2年前に交通事故でお父様を亡くされた後、昨年はその亡父のすぐ下の弟である叔父様、さらにまた叔母様と立て続けに急逝されたとのことで、こうした父方の親族内で相次ぐ不幸と、墓石に浮かんだ謎の顔との間に何か因果関係があるのではないかと気に病んでおられました。

わずか2年の間に、父親とその兄弟姉妹が立て続けに急逝!これは何かの祟りなのか?!

<鑑定開始後15分以上に渡り、相談者からの経緯説明と確認作業が続く>

[霊能者]
お父様が亡くなったのは2年前の秋ということですが、具体的なことを伺っても宜しいですか?

[秋原] はい、構いません。車の事故で亡くなりました。父は自営で、いつも自分で営業車を運転して取引先を回っていたんですが、その途中の見通しの悪い交差点で、一時停止を怠って左折してきた大型ワゴンとまともにぶつかってしまって…。

[霊能者] そしてその後、お父様のご姉弟も?

[秋原] そうなんです。今年の春と夏、本当にもう立て続けでした。最初に聞かされたのは関西で暮らす叔父の訃報です。10年来、大病と闘っていたのがついに力尽きるような感じで、病院で亡くなりました。それから数ヶ月後に今度は叔母で、こちらは病気ではなかったんですが…。(途中で言いにくそうに口ごもる)

[霊能者] ご自分で命を絶たれた?

[秋原] はい、そうなんです。訃報を聞いた時はもうショックで…。私が子供の頃、とても懐いていた人だったので。以前から義理の叔父との折り合いが悪くて、離婚の話し合いを始めた矢先だったようです。遺書などは残っていなかったのですが、かなり前からメンタルを患っていたようで、それで恐らく発作的に…。

[霊能者] 立ち入ったことを伺ってしまいました。申し訳ありません。

[秋原] いいえ、良いんです。それより墓石の顔のことを。

[霊能者] 気になりますよね。

[秋原] はい、私も怖いのですが、それ以上に本家を継いでいる伯父夫婦が…。もう、傍目にも気の毒なくらい憔悴していて…。その伯父、亡くなった父のすぐ上の兄で、4人兄妹のうち1人だけ生き残る形になって、そのショックというのか今、半分寝たきりみたいな状態が続いているんですよ。持病の糖尿も悪化しているようだし。先生、これはやはり何かの祟りとか先祖の因縁とか、そういう恐ろしい話なのでしょうか?

[霊能者] うーん、そうですねぇ…。(言葉に窮している様子)

石材店の職人まで呼んで確認したものの、墓石に顔が浮き出した原因は不明

<電話での相談に先立って、相談者は問題の墓石を写した写真データーを当鑑定所宛てに送付済み。その写真について言及し始める霊能者>

[霊能者] …先ほど送っていただいた墓石の画像、さっそく拝見させていただいたのですが、たしかに霊的な意味で特殊な波動を感じます。ただし、それが不吉なモノであるかといった判断はまだ…。

[秋原] もう1枚送りした写真、そちらもご覧いただきましたか?

[霊能者]はい。こちらは亡くなったお祖父様の、生前のお姿だと伺いました。

[秋原] 仏壇の引き出しにあった古いアルバムに貼ってあったのを、家庭用のプリンターでスキャンしてみたんです。ぼやけて見づらいかもしれませんが、どうですか?似ていませんか?墓石に浮かんでいる顔と。とくに濃くて太い眉毛の部分とか、口許の感じとか。

[霊能者] うーん、たしかに似ていると言われればそのようにも感じますが、こうしたモノというのは見る側の主観が入りますから。あっ、これは決してお客様の訴えを否定しているわけではないので、どうか誤解なさらないように。

[秋原] あの…、私も先生の力を疑っているわけじゃないんですが、何というか、写真をパッと見て色々な情報が分かってしまうとか正直、そういうのを期待してご相談してみたのですが…。

[霊能者] うーん、そうですねぇ(苦笑)。心霊現象に関する鑑定というのは、実際にはかなり難しいモノでして。とくに画像や動画を通して間接的に判定する場合、慎重の上にも慎重を期するくらいの態度で臨まないと、答えを誤ることがありますので。もっともテレビドラマや漫画に描かれる霊能者のキャラは、ほんの一瞬、その手の写真を目にしただけで「これは何々の地縛霊です」とか、「何々の祟りです!」と即座に断言してしまうわけですが、そういうのはあくまでフィクションの産物です。本物の霊能者が鑑定する場合は、ご想像になっているよりもずっと慎重で冷静ですよ。

[秋原] …(若干の疑念を抱いている様子)

[霊能者] 少し専門的な話になりますが、本来は霊媒が何かを見聞きしたり、神様や仏様の宣託を受けた後には、それをいったん審神者(さにわ)という別の能力者に託して真偽判定する決まりがあるんです。もっともこうした形式のご相談では、独りでその二役を兼ねることが大半ですけれどね。

[秋原] なるほど、そういうものなんですか…。あ、そうだわ、ひとつ言い忘れていたことがありました。先ほどは説明が長くなると思って省いてしまったんですが、じつは2度目にお墓を確かめた時、墓石屋さんっていうんですか、そういうお店の職人さんにも見てもらったんです。

[霊能者] それはお宅のお墓を作った業者ですか?

[秋原] いいえ、そうではないんですが、霊園の門前ってお墓関係の店がいくつも並んでいるじゃないですか。そのうちの1軒で事情を話したら、わざわざ同行してくれて。

[霊能者] そこまでなさったのですか。たしかに石材の専門家に聞けば、どういう原因で石が変化したのかもはっきりしますよね。

[秋原] ええ。それでその職人さんが言うには、「石材が経年劣化したり自然に風化することは当然あるにしても、ウチの墓に使われている石の性質から考えて、後からこういう不自然な模様が浮き出てくることは常識的には考えづらい」って。そうかと言って、染料を使って描いた落書きにも見えないので、その人もひたすら首を傾げていました。

[霊能者] 専門家が「ありえない」というからには、その通りなのでしょうね。私もこれは、少なくとも超常現象であるとは思います。ただ、こうしたケース、つまり家の壁や庭石などに人の顔が浮かぶ話ということですが、今までそういう事例には何度か接したことがあるものの、この件に関しては少し違うといいますか…。

[秋原] どういうことでしょう?

[霊能者] たしかに霊的な波動は感じ取れるのですが、ただそれが人間の怨念であるとか、祟りであるとか、あるいはご心配になっておられる先祖因縁だとか、その手の原因とは違うように思われるのです。あえて言うと、人霊ではなくて神様が関わっている問題と申しますか…。

[秋原] ええっ? 神様?!

遠隔霊視で墓地周辺の状況を探り出す霊能者。「付近に祠のようなものはありますか?」

[霊能者] すみません。先ほどからお話を伺いしながらお墓の周辺の状況を霊視させていただいたのですが、2~3の事柄を確認させていただいて宜しいですか?

[秋原] もちろん、どうぞ。

[霊能者] お宅のお墓がある区画、そのすぐ先の…方角で言うと北側でしょうか、そちらは雑木林の傾斜地へ続いていますよね。そして東側にはそれとはまた別の樹木の茂みが広がっていて、この2つの森林に取り囲まれる形で霊園の敷地が続いている感じでしょうか。

[秋原] はい、その通りです!凄い!やっぱり、本当に見える方なんですね!先ほどは失礼なことを言ってすみませんでした。

[霊能者] いいえ、お気になさらず。そんなことより、この東側の森林がとても気になるのですが、そこは公共の公園のような場所ですか?

[秋原] はい。地元の自然公園の敷地になっています。

[霊能者] 入られたことはあります?

[秋原] えーと、どうだったかしら…。あ、あります!たしか5年くらい前、お墓参りの帰りに長男を連れて立ち寄ったことが。そこで2時間くらい遊ばせてから、車で本家へ戻りました。

[霊能者] その公園の西側の端、ちょうど霊園と隣接している辺りに祠があったはずなのですが。

[秋原] 祠?小さな神社のようなもの?うーん、全く分からなかったけれど…。あの、ちょっと待ってくださいね。今、ちょうどPCの前にいるので。

<ネット検索をして、該当する森林公園のホームページにアクセスする相談者。そこに掲載されている案内図で、指摘された祠が実在していることを確認する>

[秋原] ありました!▲▲社と書かれています。由来の説明などは載っていませんが…あっ、ここ、ちょうどウチのお墓の裏側に当たる場所だわ!

[霊能者] 私の見立てだと、そこの祠に祀られている神様のエネルギーの一部がお宅のお墓に宿っているようなのです。かなり珍しい現象ですが。

[秋原] 神様が?ウチの墓に?!どうして…。

墓石に浮かんだ謎の顔は、先祖が信仰した神様の痕跡だった?!

[霊能者] 説明させていただきます。こちらも100%、正確に霊視できているという確証はないので、細かい部分については間違いがあるかもしれませんが、その点はご容赦くださいね。まず、この祠の由来ですが、初めは街道筋のお地蔵様か道祖神(どうそじん)、あるいは庚申塚(こうじんづか)として祀られていたのが、何かの都合で今の場所付近に移動させられ、さらにその後、古くから地元で信仰されていた稲荷社や天神社なども合祀されて作られたようです。

[秋原] たくさんの神様がまとめて祀られている?

[霊能者] はい。地方に点在する由来不明の小さな祠などでは、こうしたことはままあります。一応、稲荷社とか天神社とかといったよくある社名がついているのですが、実際には複数の神様や仏様が祀られていて、その経緯に関する伝承などが残っていないため、そもそもの縁起や由緒が分からないというケースです。

[秋原] そうなんですか…。たしかに田舎だと、そういうこともあるのかもしれないですね。でも、そんな祠の神様がどうして父の家のお墓に?

[霊能者] お父様の家のご先祖筋が、長らくその祠にご奉仕されていた形跡が見られるのです。恐らく地域一帯の氏神(うじがみ)、あるいは産土神(うぶすなかみ)として信仰されていた時期があったのでしょう。時代で言うと、江戸時代の中期から明治の初期にかけてのことではないかと推測しているのですが。それでその時のご縁を通じて、神様がお宅のお墓にご自身の痕跡を残されたようなのです。

[秋原] えっ?!ええっー!…ごめんなさい、何だか突拍子もない話で…どう理解すれば良いのか、さっぱり…。

[霊能者] 理解できなくて当たり前だと思います。霊視した私自身もあちら側の意図を汲み取ることはできませんし、そもそも神様やそれに近い存在が関わる出来事というのは人間の理解を越えていることが多いのです。ただひとつだけ言えるのは今回、墓石の裏に顔のような印が浮かび上がったことは、例えば神様やご先祖様の祟りであるとか、少なくともそういう悪い意味の現象ではない、ということです。ちなみにそこの霊園にお墓を建てられたのはいつ頃のことですか?

[秋原] 半世紀近く前になるのかな。祖父が自分の生まれた家から独立して、新たにお墓を買ったということになるんだと思います。

[霊能者] そうなると長い間、お参りするご家族の方が気づかなかっただけかもしれませんよ。

[秋原] えっ、あの顔、昔からお墓の裏にあったってことですか?

[霊能者] はい、その可能性も否めません。

[秋原] なるほど。言われてみればたしかに…。裏側のかなり下の方ですから、今まで見落としていただけなのかも…。

[霊能者] そもそもお父様のご実家というのは、地元ではかなり古い家系のようですね。

[秋原] はい、詳しいことはよく分からないけれどそんな風に聞いています。私の旧姓と同じ苗字の人ってあの辺にはけっこう大勢いて、ルーツをたどると皆、遠い親戚らしいと教えてもらったことがあります。元々はあそこの土地に住んでいた豪農の一族につながるとかで、その菩提寺になっているお寺へ行くと江戸時代の過去帳の記録なども見ることができるらしいです。ただ、父の生家は本家とは言っても元の総本家からいくつも枝が分かれたうちのひとつに過ぎませんから、昔はともかく今では同じ姓の他の家との交流などは一切ありません。元は歴史のある名家でも所詮、末端のさらに末端ということですから(笑)。

[霊能者] それでも、やはり同じ一族の血を引いているわけです。だから神様に目を付けられたのでしょう。

[秋原] つまり、今の先生の説明はこういうことですか?祖父が新しく作ったお墓が昔、ご先祖様が信仰していた神様の祠の近くだったから、その縁で墓石の裏に信仰の印が現れたっていうこと?

[霊能者] はい、そういうことです。

[秋原] そうなるとこの2年の間に父と叔父、そして叔母が続けざまに亡くなったのは、お墓の件とは関係のない、単なる偶然の出来事ということになるんでしょうか?

[霊能者] それはですね…話が複雑になるのでひとまず伏せておいたのですが…。

[秋原] えっ?違うんですか!

[霊能者] はい、じつはそのようなのです。お父様の血筋に関わる別の家系因縁が関わっていました。ただ、そちらの祟りはすでに解消されているはずです。失礼な言い方ですが、3人のご親族の死と引き替えという形で。

[秋原] やっぱり、そうだったのね。だってこんな死に方、どう考えても普通じゃないもの。

[霊能者] ちょうどお父様の霊が降りてきていますので、その話も含めてこれから口寄せをさせていただきます。

亡き父との一問一答 「余計な心配はしなくて良い、と兄貴に伝えてくれ」

<降霊の態勢に入る霊能者。ほどなくして口寄せが始まる>

[霊能者] 沙奈子…久しぶり…。

[秋原] お父さん?!お父さんなのっ?

[霊能者] そうだよ。俺が死んだ後、リュウイチ君(相談者の夫と思われる)と一緒に家のことを色々と取り仕切ってくれたみたいだな。ありがとう、すまなかった。

[秋原] お父さんは今、どんな場所にいるの?この世を離れて霊界にいるってこと?

[霊能者] どんな場所といってもなぁ…。言葉で説明するのは難しいんだよ。物の形があるようでないような…時間も経っているのか経っていないのか分からないし…。でも、ここに来て強く感じたのは、人間の意識が本当に存在するべきなのはこっち側で、おまえたちが今いる世界じゃないってことかな。まあ、沙奈子もいずれここに来れば、俺が言っている意味が分かるさ。

[秋原] 全然、分からないけれど、とりあえずそれは良いわ。それよりあの後すぐ、大阪のマサユキ叔父さんと、それから千葉のユリエ叔母さんも亡くなっちゃったのよ。知ってた?

[霊能者] ああ、知っているよ。本人たちとは直接、会っていないがね。こっちの世界は自分が会いたい相手とはすぐに会えるはずなんだが、どういうわけかまだ探せていないんだよ。

[秋原] お父さんたちが死んだのは何かの祟りが原因だって言われたんだけれど、それは本当なの?

[霊能者] うん、そのことはオヤジから教えてもらった。

[秋原] オヤジ?それってお祖父ちゃんとは会えたってこと?

[霊能者] ああ、そうだよ。身体から抜けだした時に、オヤジとオフクロがわざわざ迎えに来てくれてなあ。

[秋原] そんなことがあったのっ!?そ、それで、お祖父ちゃんは何て言っていたの?

[霊能者] 何だかよく分からんが、俺から見て曾祖父さんに当たる先祖の時代に、人様の恨みを買うような出来事があったみたいだ。その時の連中が死んでもまだウチを恨んでいて、その報いでこっち側に引っ張られたらしい。でも3人まとめて引っ張ったことで、向こうの恨みもようやく消えたようだ。だからおまえたちは、もう心配しなくて良いぞ。

[秋原] そうなの?タダオ伯父さん(兄妹の中で唯一存命している長男)、あれからショックで寝込んじゃったのよ。「次は俺の番だ」って凄く怖がっていて、もう何だかノイローゼみたいになっちゃって。ねえ、どうしたら良い?

[霊能者] どうしたら、と言われてもなぁ…。とにかく「余計な心配は止めて、俺たちの分まで長生きしろ」と伝えてくれ。それから「いよいよ兄貴が死ぬ時は、俺が迎えに行ってやるから待ってろ」ってな。

[秋原] ねえ、お父さんは無念じゃないの?何だか訳の分からない先祖の祟りに巻き込まれて死んじゃって。

[霊能者] 沙うーん、たしかにそっちの世界を離れる間際は後ろ髪を引かれる思いだったが、今はそういう気持ちはないな。言い方は良くないが、色々と縛られていたことからようやく離れることができて、むしろ清々しているんだよ。おまえたち夫婦はしっかりしているから、何の心配もないしな。ただ、ユキエ(相談者の母親の名と思われる)は少し気弱な性格だからなぁ。沙奈子、母さんの面倒もちゃんと見てやってくれよ。それだけは宜しく頼む。

[秋原] お母さんのことは大丈夫!それよりお父さん、そっちはそんなに素敵な世界なの?

[霊能者] だから、おまえも来てみれば分かるさ。

<この後しばらく、娘と亡き父との間でプライベートなやり取りが続く。今回の本筋とは関係が薄いため割愛>

因縁解消の処置と遠隔操作による波動修正を約束して、鑑定はひとまず終了

<口寄せを終えて素に戻る霊能者>

[霊能者] …いかがでしたか?

[秋原] おかげさまで色々と訊くことができました。父が無事に成仏したことも確認できましたし。でも、まだ分からないことが…。

[霊能者] お父様たちの命が奪われる原因となった家の因縁についての話ですね。

[秋原] ええ。父も「心配ない」って言っていましたが、その言葉だけではどうしても。

[霊能者] 私の目に見えた範囲でお話しすると、そもそもの発端となった事件は明治時代の末か大正の頃に起きたようです。その頃の家の当主が子供のできなかった本妻を追い出して、お妾さん、つまり愛人を後妻に迎え入れたのですが、離縁された側はそれを苦にして直後に自殺しています。またこの元妻というのは母1人子1人の家庭の出であったようで、絶望した母親も娘の後を追う形となり…。

[秋原] 初耳です。過去にそんな酷い出来事があったんですか。

[霊能者] しかもこの母親という人物が自ら命を絶つ直前、相当たちの悪い筋 (祈祷師?) に頼み込んで呪殺の願を掛けた形跡まで見られまして、その祈願が長い時間をおいて図らずも発動してしまったというのが今、直面していらっしゃる悲劇の真相のようです。もっともこの時に生じた負のカルマも今回、3人の子孫が亡くなったことで解消されたはずですし、念のため適切な因縁浄化の処置も執らせていただきますので、これ以上のご懸念には及びません。

[秋原] でも、あの…本家の伯父は…どんな風に説得すれば良いんでしょうか。

[霊能者] 話の内容が突拍子もないことですから、言葉で納得させるのは難しいでしょうね。その代わりに精神を鎮静させる強力な念を送らせていただきますので、ひとまずはそれで様子を見てください。時間の経過とともに、少しずつ正常に戻られると思います。

[秋原] 何だか今頃になって涙が出てきました…。

[霊能者] それはご自身のお気持ちが安心された証拠です。くどいようですが、墓石に浮かんだ顔の件とお父様たちが続けざまに亡くなられた件は、いずれも霊界が関わる事柄とは言いながらも、全く別の原因に拠るものですので、くれぐれも混同なさらないように。

[秋原] 分かりました。ありがとうございます。

その後の経過

11月上旬、相談者本人の談話

先生、その節は大変お世話になりました。おかげさまで半ば寝たきり状態だった伯父も何とか気力を取り戻し、現在は普通に暮らせるようになっています。ただ、電話で伺ったことや口寄せを通して父の霊と会話したことなどについては、伯父にもまた他の親戚たちにも一切伝えていません。信じがたい内容に彼らが混乱してしまうことは目に見えていますし、それよりも良い意味づけをしてあげた方が得策だと考え、「お墓の石にお祖父ちゃんの魂が宿ってみんなを見守ってくれているのだ、と霊能者に言われた」など、強引にねじ曲げて伝えてしまいました。ごめんなさい。

地元の親戚の中に高齢の男性がいまして、私からすると大伯父に当たるのですが、この人から数代前の先祖について聞く機会があり、先生に言われたことの事実関係を確認してみました。すると、たしかにそれらしい出来事があったことが分かりましたが、離縁された奥さんとその母親が自殺したかどうかまでは大伯父も知らないそうです。当時としては大変な醜聞でしょうから、それをわざわざ子孫に伝えるはずはないわけですが…。

その後、自然公園の片隅にある例の祠にお参りしました。何だか本当に不思議な気分でした。実際、神様の印がお墓の石に浮かんだということは、何かしらのご加護もいただけるんじゃないかと思うのですが、どうなのでしょうか?その辺のこともまた、あらためて教えていただきたいと思います。

口寄せ鑑定再録 霊魂との対話 / 鑑定実例No.05