陸奥国の神秘・電話占い
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口寄せ鑑定再録 霊魂との対話

鑑定実例No.04
「認知症の母を置き去りにして突然、兄が出奔。そしてつい先日、その妻という女性から連絡が…」

松原志津香さん(仮名)・40歳・北海道小樽市・会社員

こちらのご相談は昨年の初冬、福島県内にてイタコの相談所を開業しておられる某女性を通じて、当鑑定所へ持ち込まれたものです。当初はその方が直に対面して解決を図ったのですが、「典型的な人探しの相談だが、とても自分の手には負えない」ということで、同門の兄弟子が在籍する当鑑定所が仲介を受ける形となりました。私共では内部紹介による鑑定申し込みに特別な便宜を図るということはございませんので、他のお客様と同様の形でご相談を承りました。ただ、事前に相談内容の一部を教えていただいていたこともあり、錯綜した状況を把握するのに役立ったという経緯がございます。

お客様の相談内容は、3年前に実家を出奔した50代半ばのご兄弟に関することで、背後に不可解な事情をはらんでいました。失踪後、本人からの連絡は一度もなく、また現住所なども全く分からずにいたところ、今年の秋頃になってその内縁の妻と自称する女性から非通知の電話連絡があったそうです。

「あなたのお兄さんは今、人間関係のトラブルで窮地に陥っているので、援助するなり、保護するなりしてあげて欲しい」と、ただそれだけを一方的に告げ、返事を待たずに通話が切れたのだと。

この謎の女性からの電話はそれ一度きり。しかも具体的な情報は何も伝えてこなかったので、初めは悪質なイタズラと考えて遣り過ごしていたそうなのですが、その後、認知症を患って施設に入所中の母親が毎晩のように「貴之(息子の名前)の夢を見る。あの子の身に何かあったのではないか?」と訴えたため、その長女が心配をして知り合いの霊能者に相談をしたという流れでした。

※注:鑑定中に登場する人物の名前も仮名となっております。

雲を掴むような話の経緯に当惑しながらも、事前の状況把握に努める霊能者

<鑑定開始後15分以上に渡り、相談者からの経緯説明と確認作業が続く>

[霊能者]
…それで、お兄さんが行方不明になった時期は?

[松原] 3年前の夏、7月の上旬です。それまでは認知症の母の介護をしながら、実家で一緒に暮らしていました。仕事を持っているのに母の面倒もよく見てくれて、本当に優しい性格の人なんです。家を離れて嫁いだ妹としても、とても安心して感謝していたのですが…。

[霊能者] そんな方が突然、生活の全てを置き去りにして蒸発を?

[松原] はい、書き置きのメモ1枚すら残さずに。勤め先の会社にさえ一言も告げないで、服とか靴とかそういう身の回りの品もほとんど残したままある日、忽然といなくなってしまったんですよ。知人友人や親戚とか、片っ端から聞いて回ったんですが、行方を知る人は誰もいませんでした。万策尽きて警察に相談しても、事件性がないと判断されてそれきりで…。

[霊能者] 独身で婚歴がない方と伺っていますが、失踪当時、交際していた女性の存在などは?

[松原] 私自身は直接の面識はないのですが、同じ職場にそういう相手がいたことは知っていました。でも、電話を掛けてきたのはその人ではありません。兄が勤めていた事務所の社長さんを介して、当人に確認を取りましたから。第一、電話の声が全然違っていましたし。

[霊能者] なるほど。それにしても、お兄さんの身が危ないとわざわざ知らせながら、具体的な情報を何もくれないというのはおかしな話ですね。

[松原] はい。一体、何をしたいのか目的が分かりません。でも、少なくとも私の携帯の電話番号は知っていたわけですし、たとえこれがタチの悪いイタズラだったとしても、本当に兄との間に何かの接点を持つ女性であれば、今の所在を知る手掛かりになるかもしれないと…。何よりも母が連日のように見ている夢のことが気になりますし…。 霊能者 そのお話はまた後にして、とりあえずお兄さんの意識とコンタクトできるかどうかを試してみましょう。

[霊能者] よろしくお願いします。もし何か有力な手掛かりが掴めれば、それを足掛かりにして警察や興信所などの機関にあらためて調査を依頼することも考えていますので。 霊能者 分かりました。少し、お待ちください。

<精神統一を始める霊能者。数分間の時間経過とともに徐々に憑霊状態となり、当事者の意識が語り出す>

失踪中の兄の意識とつながり、口寄せ開始

[霊能者] んんん?あ…ここは?(中年男性のそれを思わせる、低音でかすれた声色に変わる)

[松原] …兄さん?兄さんなの!

[霊能者] えっ?その声…シズカか?…まさか。変だな。夢を見ているのか?でも、真っ暗で何も見えない…。

[松原] 夢じゃないのよ!ある方法で今、兄さんの意識と話をしているの!

[霊能者] えっ?う、嘘だろ…。

[松原] 嘘じゃないのよ!ねえ、兄さん、よく聞いて!一体、今はどこで何をしているの?!どうして何も言わずに家を飛び出したのっ?!

[霊能者] んんん…そ、それは…おまえや母さんに迷惑を掛けたくなくて…。

[松原] 迷惑?何?どんな迷惑があったっていうの?もしかしてお金の問題?

[霊能者] そ、それは…違う…。

[松原] じゃあ、一体何なのよっ?

[霊能者] すまない…言えない…。

[松原] お願いだから事情を話して。私とタカシさん(相談者の夫と思われる)ができる限りのことはするからっ!

[霊能者] いや…そっとしておいてくれ…母さんには申し訳ないけれど…もう、俺、ほとほと疲れてしまって…。

[松原] それは母さんの世話のこと?介護するのがイヤで飛び出したの?

[霊能者] いや、それもあるが、それだけじゃなくて…す、すまない…ごめん。本当にごめん。ん、んんん…。
(声がどんどん小さくなり、相談者からの問い掛けにも反応しなくなる。このまま口寄せは終わるかと思われたが、しばらくの沈黙から一転し、最前とは違う声色が発せられる)

[霊能者] …妹さん、聞いて…私…あなたに電話した…者です…。

突然、女性と思われる霊意識が兄の代わりに話し始める!

[松原] えっ?な、何?どうなっているの?先生、これは一体どういうことですか?!

<相談者が呼び掛けるも、霊能者が素に戻る気配はない。降ろしている霊意識が自動的に入れ替わる現象が起きている模様。そのままが口寄せが続行される>

[霊能者] お願い…です。聞いてください。私のこと、分かりませんか?あの時に、一緒に暮らしている…内縁の妻と…名乗って…。

[松原] は、はい、分かります。じゃあ、あなたから説明してください。今、兄の身に何が起きているのかを。あっ、それとできれば、そちらの素性も教えて。

[霊能者] …今、あなたのお兄さん、広島の××(某都市名)にいる…んです。そこには私の実家があるから…それで色々と都合が…良いと思って…。

[松原] 都合?それはどういう?

[霊能者] 2人で暮らすのに…でも、まさか…あいつが…追ってくるなんて…。

[松原] 追ってくるって、どういうこと?兄は今、危険な状態なのっ?!それから、そもそもあなたはうちの兄とどういう関係の人なの?お願い、教えて!

[霊能者] カ…マタ…さん…。

[松原] えっ?何っ?!カマタ?カマタって言ったのっ?!

[霊能者] そう…カマタ…さん…が知っているから…事情を…聞いて…。

<この後も途切れ途切れの言葉が続くが、聴き取り不能であるため割愛。やがて一切の応答がなくなり、この時点で口寄せがようやく終了となる>

霊能者が描写した人物像が相談者の兄と一致。さらにアドバイスが続く

[霊能者] いかがでしたか。手掛かりは掴めました?

[松原] うーん、正直なところ…。でも、広島県の地名とカマタという名前が飛び出しました。いや、これも地名かな?どっちなのか分からない。あ、それから、母の介護に疲れたというようなことも…。

[霊能者] お兄さんは、広島と何か縁がありますか?

[松原] 分かりません。多分、無いと思うけれど…。生まれてからずっと北海道で暮らしてきた人ですし、旅行や仕事でその地方と関わりを持ったということも聞いたことがありません。

[霊能者] そうですか。では今、生き霊を降ろしていた時の私の印象を、いくつかお伝えしておきますね。

[松原] ぜひ、お願いします。

[霊能者] まず、口寄せの最中、ずっと映像が見えていたのですが、お兄さんという方の容姿はわりと背が高くでがっしりとしていて、メガネも掛けていらっしゃいますよね。

[松原] ええ、その通りです。

[霊能者] あとは失礼な言い方ですが、髪が薄くてもみあげの白髪が目立つ感じ?

[松原] ああっ、それはもう兄に間違いありません!

[霊能者] 一緒にいた女性の姿も少しだけ見えました。40代の半ばくらいで、垢抜けた感じのなかなか綺麗な女性でした。髪はストレートロングで、やはりメガネを掛けていらして。

[松原] うーん…女の人の方はまるで心当たりがありませんが。

[霊能者] とにかく、今のところはお2人とも元気そうな様子だったので、ほんの少しだけ安心しても良いのではないかと感じました。それと、カマタというのはほぼ間違いなく人の名前です。知人や友人に、その名前が該当する人物がいないかどうか、もう一度調べてみる価値がありそうですよ。案外、そこから一挙に事態が動くかもしれません。

[松原] 分かりました。さっそく調べてみます。それと母の夢ですが…。

[霊能者] 間違いなく正夢、つまりテレパシー夢に類する現象です。あなたがおっしゃる通り、お兄さんは根が優しい方ですから、自分の母親を案じて毎晩、強い想いを発しているのでしょうね。お母様の側もそれをキャッチして、可愛い息子の夢を見続けているんです。

[松原] (電話口で涙ぐみながら)
やはり、そうだったんですね。それじゃ、調べた結果をまたご報告させていただきます。引き続き、よろしくお願いします。

その後の経過

2020年1月上旬、相談者本人からのメール

ご連絡が遅れて、申し訳ございません。その後の経緯をその都度、ご報告させていただくつもりだったのですが、考えたいたよりはるかにあっさりと兄の所在が判明したこともあり、ついお電話するのを怠っておりました。おかげさまであれから1ヶ月半後の年の瀬に、何とか兄と会って話をすることができました。少々長いメールになってしまいますが、先生にご相談してから兄の無事が確認できた日までの流れを、順を追って書かせていただきます。

まず、鑑定していただいたすぐ翌日、ずっと無人状態になっている実家を久しぶりに訪れました。そこで「カマタ」という名前の手掛かりを徹底的に探していたところ以前、兄宛てに来ていた年賀状の中に同じ姓の男性が1人だけいることが分かりました。さっそくこの人に連絡を取ってみると、兄の高校時代の同級生でした。幸いその人の現住所が私の住まいと同じ市内であったため、同じ日の夜にカマタさんご当人と直接会うことができ、これまでのことを正直に打ち明けた上で、何か心当たりはないかと訊ねてみました。結果はもうまさにビンゴ!で、兄自身の身に起きたことはもちろん、内縁の妻だと言っていた女性の素性を含めてあらかたの事情を知ることができたのです。

まずそもそもの発端は、今から4年近く前にさかのぼる出来事であると分かりました。その日の夜、カマタさんはたまたま繁華街で私の兄と遭遇し、そのまま2人で飲みに行ったそうなのですが、最後に入ったスナックのママさんと意気投合し、やがて2人は大人同士のお付き合いを始めたそうです。ただ、兄の方は母の面倒を見なくてはいけないため、あまり頻繁に会うことができなかったようで、仕事帰りに小一時間ほどそこのお店へ立ち寄るということがしばらく続いていたみたいです。

そういえばこの時期、夕刻から夜間にかけて、兄妹でお金を出し合って雇っていたヘルパーさんから、「お兄さんのお帰りはまだですか?」と催促の連絡が入ることが多かったので、「なるほど、そういうことだったのか」と合点しました。私は勤めていた会社の同僚女性がずっと兄の恋人だったと思い込んでいたのですが、実際にはその頃にはすでに別れていて、このママさんという人が新しい交際相手であったわけです。

よくよく思い直してみれば、兄の以前の勤め先へ確認を取った際に、電話で話した交際相手の女性が妙によそよそしく冷たい態度であったことや、「最近はお互いに部署が変わって、顔を合わせることもほとんどなりましたから」と何度も繰り返して言う様子を妙だなと感じてはいたのです。あれは「あなたのお兄さんとは別れました」という意味合いのことを、婉曲な表現で伝えていたのだとようやく理解しました。

その後、カマタさんに案内していただいて、兄の恋人が経営しているというスナックを訪ねたのですが、すでに廃業して別の店になっていました。そこで近隣の同業種の店舗を片っ端から訊ねて回ったところ、普段からママさんと親しかった小料理屋のマスターから、「3年前に店を畳んで郷里へ帰った」という話を教えてもらい、さらに彼女の携帯番号まで知ることができたのです。その場でさっそく連絡を試みると、拍子抜けするほどあっさりと相手が出てくれて、彼女としばらく話すことになりました。 以下、その会話の内容をと現状を最後に書き記します。

まず、うちの兄は失踪する少し前から介護ノイローゼに陥っていたという事実が分かりました。不覚と申しますか、本当に情けない話なのですが、私も夫もそんな兄の変化に気づくことができませんでした。昔からちょっと度が過ぎると思うほど他人の目や体裁を気にして、何かと自分を責める傾向も強い人でしたので、まともなコミュニケーションができなくなっていく母と接するうちに、兄の方も少しずつ心を病み、追い詰められていったのかもしれません。家族として気づけなかったことを心から悔やんでいます。

とにかくそんな感じで普通の精神状態ではなくなっていたようで、恋人のママさんに「自殺したい」と何度も漏らしていたそうです。それで彼女が励ます意味で「死ぬくらいなら、全部捨ててしまえば?」と言ったら、その言葉を真に受けて実行に移してしまったのだと、電話越しに謝罪を繰り返しながら説明してくれました。
その後、当てもなくさまよう旅先から彼女に連絡してきた兄を、半ば無理矢理に自分の実家へ連れて行ったそうです。

最初は1ヶ月ほど一緒に暮らして兄の気持ちを落ち着かせながら、折を見て私に連絡してくれるつもりだったようなのですが、その猶予期間がずるずると長引いて、気がつけば3年近くが過ぎていたと話していました。また、そんな彼女が急に電話を掛けてきたのは、ある1人の男の出現が原因だったそうです。

ここ半年、DVが原因で離婚した彼女の昔の夫が2人の住まいへちょくちょく顔を出すようになり、時には暴力を振るって兄のことを脅すようになったのだと…。それでこれはすぐに何とかしないといけないと思って、遅まきながらこちらとのコンタクトを図ってきたというわけです。

その時の電話が途中で切れてしまったのは、とくに他意があったというわけではなく、本当に単なるアクシデントだったとも言っていました。話の最中、いきなりその問題の男が目の前に現れ、慌てて通話を切って逃げたそうです。
その後、再び先方がコンタクトしてくる前に、こちらが先回りして電話を掛けたということになります。

正直なところ、兄とその奥さんに対して今後、どのように接していけば良いのか戸惑っています。とりあえずDV男の嫌がらせを何とかしなくてはいけないと思い、2人を広島から札幌へ呼び戻して、今は元の実家で過ごさせているのですが…。夫と相談した上で、警察や弁護士に依頼する手筈はすでに済ませましたが、その上で先生にも助けていただきたいと願っています。どうぞ、この先も引き続きお導きくださるよう、あらためてお願いを申し上げます。

口寄せ鑑定再録 霊魂との対話 / 鑑定実例No.04