鑑定実例No.04
「認知症の母を置き去りにして突然、兄が出奔。そしてつい先日、その妻という女性から連絡が…」
こちらのご相談は昨年の初冬、福島県内にてイタコの相談所を開業しておられる某女性を通じて、当鑑定所へ持ち込まれたものです。当初はその方が直に対面して解決を図ったのですが、「典型的な人探しの相談だが、とても自分の手には負えない」ということで、同門の兄弟子が在籍する当鑑定所が仲介を受ける形となりました。私共では内部紹介による鑑定申し込みに特別な便宜を図るということはございませんので、他のお客様と同様の形でご相談を承りました。ただ、事前に相談内容の一部を教えていただいていたこともあり、錯綜した状況を把握するのに役立ったという経緯がございます。
お客様の相談内容は、3年前に実家を出奔した50代半ばのご兄弟に関することで、背後に不可解な事情をはらんでいました。失踪後、本人からの連絡は一度もなく、また現住所なども全く分からずにいたところ、今年の秋頃になってその内縁の妻と自称する女性から非通知の電話連絡があったそうです。
「あなたのお兄さんは今、人間関係のトラブルで窮地に陥っているので、援助するなり、保護するなりしてあげて欲しい」と、ただそれだけを一方的に告げ、返事を待たずに通話が切れたのだと。
この謎の女性からの電話はそれ一度きり。しかも具体的な情報は何も伝えてこなかったので、初めは悪質なイタズラと考えて遣り過ごしていたそうなのですが、その後、認知症を患って施設に入所中の母親が毎晩のように「貴之(息子の名前)の夢を見る。あの子の身に何かあったのではないか?」と訴えたため、その長女が心配をして知り合いの霊能者に相談をしたという流れでした。
※注:鑑定中に登場する人物の名前も仮名となっております。
雲を掴むような話の経緯に当惑しながらも、事前の状況把握に努める霊能者
…それで、お兄さんが行方不明になった時期は?
失踪中の兄の意識とつながり、口寄せ開始
(声がどんどん小さくなり、相談者からの問い掛けにも反応しなくなる。このまま口寄せは終わるかと思われたが、しばらくの沈黙から一転し、最前とは違う声色が発せられる)
突然、女性と思われる霊意識が兄の代わりに話し始める!
霊能者が描写した人物像が相談者の兄と一致。さらにアドバイスが続く
やはり、そうだったんですね。それじゃ、調べた結果をまたご報告させていただきます。引き続き、よろしくお願いします。
その後の経過
2020年1月上旬、相談者本人からのメール
ご連絡が遅れて、申し訳ございません。その後の経緯をその都度、ご報告させていただくつもりだったのですが、考えたいたよりはるかにあっさりと兄の所在が判明したこともあり、ついお電話するのを怠っておりました。おかげさまであれから1ヶ月半後の年の瀬に、何とか兄と会って話をすることができました。少々長いメールになってしまいますが、先生にご相談してから兄の無事が確認できた日までの流れを、順を追って書かせていただきます。
まず、鑑定していただいたすぐ翌日、ずっと無人状態になっている実家を久しぶりに訪れました。そこで「カマタ」という名前の手掛かりを徹底的に探していたところ以前、兄宛てに来ていた年賀状の中に同じ姓の男性が1人だけいることが分かりました。さっそくこの人に連絡を取ってみると、兄の高校時代の同級生でした。幸いその人の現住所が私の住まいと同じ市内であったため、同じ日の夜にカマタさんご当人と直接会うことができ、これまでのことを正直に打ち明けた上で、何か心当たりはないかと訊ねてみました。結果はもうまさにビンゴ!で、兄自身の身に起きたことはもちろん、内縁の妻だと言っていた女性の素性を含めてあらかたの事情を知ることができたのです。
まずそもそもの発端は、今から4年近く前にさかのぼる出来事であると分かりました。その日の夜、カマタさんはたまたま繁華街で私の兄と遭遇し、そのまま2人で飲みに行ったそうなのですが、最後に入ったスナックのママさんと意気投合し、やがて2人は大人同士のお付き合いを始めたそうです。ただ、兄の方は母の面倒を見なくてはいけないため、あまり頻繁に会うことができなかったようで、仕事帰りに小一時間ほどそこのお店へ立ち寄るということがしばらく続いていたみたいです。
そういえばこの時期、夕刻から夜間にかけて、兄妹でお金を出し合って雇っていたヘルパーさんから、「お兄さんのお帰りはまだですか?」と催促の連絡が入ることが多かったので、「なるほど、そういうことだったのか」と合点しました。私は勤めていた会社の同僚女性がずっと兄の恋人だったと思い込んでいたのですが、実際にはその頃にはすでに別れていて、このママさんという人が新しい交際相手であったわけです。
よくよく思い直してみれば、兄の以前の勤め先へ確認を取った際に、電話で話した交際相手の女性が妙によそよそしく冷たい態度であったことや、「最近はお互いに部署が変わって、顔を合わせることもほとんどなりましたから」と何度も繰り返して言う様子を妙だなと感じてはいたのです。あれは「あなたのお兄さんとは別れました」という意味合いのことを、婉曲な表現で伝えていたのだとようやく理解しました。
その後、カマタさんに案内していただいて、兄の恋人が経営しているというスナックを訪ねたのですが、すでに廃業して別の店になっていました。そこで近隣の同業種の店舗を片っ端から訊ねて回ったところ、普段からママさんと親しかった小料理屋のマスターから、「3年前に店を畳んで郷里へ帰った」という話を教えてもらい、さらに彼女の携帯番号まで知ることができたのです。その場でさっそく連絡を試みると、拍子抜けするほどあっさりと相手が出てくれて、彼女としばらく話すことになりました。 以下、その会話の内容をと現状を最後に書き記します。
まず、うちの兄は失踪する少し前から介護ノイローゼに陥っていたという事実が分かりました。不覚と申しますか、本当に情けない話なのですが、私も夫もそんな兄の変化に気づくことができませんでした。昔からちょっと度が過ぎると思うほど他人の目や体裁を気にして、何かと自分を責める傾向も強い人でしたので、まともなコミュニケーションができなくなっていく母と接するうちに、兄の方も少しずつ心を病み、追い詰められていったのかもしれません。家族として気づけなかったことを心から悔やんでいます。
とにかくそんな感じで普通の精神状態ではなくなっていたようで、恋人のママさんに「自殺したい」と何度も漏らしていたそうです。それで彼女が励ます意味で「死ぬくらいなら、全部捨ててしまえば?」と言ったら、その言葉を真に受けて実行に移してしまったのだと、電話越しに謝罪を繰り返しながら説明してくれました。
その後、当てもなくさまよう旅先から彼女に連絡してきた兄を、半ば無理矢理に自分の実家へ連れて行ったそうです。
最初は1ヶ月ほど一緒に暮らして兄の気持ちを落ち着かせながら、折を見て私に連絡してくれるつもりだったようなのですが、その猶予期間がずるずると長引いて、気がつけば3年近くが過ぎていたと話していました。また、そんな彼女が急に電話を掛けてきたのは、ある1人の男の出現が原因だったそうです。
ここ半年、DVが原因で離婚した彼女の昔の夫が2人の住まいへちょくちょく顔を出すようになり、時には暴力を振るって兄のことを脅すようになったのだと…。それでこれはすぐに何とかしないといけないと思って、遅まきながらこちらとのコンタクトを図ってきたというわけです。
その時の電話が途中で切れてしまったのは、とくに他意があったというわけではなく、本当に単なるアクシデントだったとも言っていました。話の最中、いきなりその問題の男が目の前に現れ、慌てて通話を切って逃げたそうです。
その後、再び先方がコンタクトしてくる前に、こちらが先回りして電話を掛けたということになります。
正直なところ、兄とその奥さんに対して今後、どのように接していけば良いのか戸惑っています。とりあえずDV男の嫌がらせを何とかしなくてはいけないと思い、2人を広島から札幌へ呼び戻して、今は元の実家で過ごさせているのですが…。夫と相談した上で、警察や弁護士に依頼する手筈はすでに済ませましたが、その上で先生にも助けていただきたいと願っています。どうぞ、この先も引き続きお導きくださるよう、あらためてお願いを申し上げます。