鑑定実例No.03
「意中の相手は直属の上司。先日、その人が夜のバーで若い女性と一緒にいるのを見てしまい…」
金瀬美優さん(仮名)・27歳・千葉県市川市・会社員
今回はごくありふれた片想いの悩みから一転、思わぬ展開となったレアケースを取り上げます。相談者は、都内の某中堅メーカーにお勤めになっている金瀬さん(仮名) 27歳。今までにも何度かこの霊能者の鑑定をリピートされていて、お互いに気心が知れていたため、「口寄せの記録を掲載させて欲しい」という当スタッフからのお願いを快諾してくださいました。そして、今でも継続して相談が続いています。
その端緒となった相談内容としては、同じ社内で想いを寄せていた独身上司が、見知らぬ女性と一緒にいるところを偶然目撃し、大変ショックを受けているとのことで、「彼とその相手の女性とはどういう関係なのか?」「この先、こちらからアプローチしたとして、想いを受け入れてもらえる可能性はどのくらいあるか?」といったことを、できるだけ詳しく知りたいとおっしゃっていました。
こうした問題に関しては通常の霊視でも十分に対応できるのですが、相手の無意識部分への働きかけ(口寄せによる印象づけ作用)という要素を重視し、憑霊を介した本人同士の対話という形を取りました。しかしその最中、いきなり霊能者の身にイレギュラーなハプニングが発生し、さらに最終的には心霊相談の様相を呈しました。一般的な占術とは異なり、見えない世界の力を拠り所とする霊能鑑定の場においては、こうした椿事が往々にして起こります。
※注:鑑定中に登場する人物の名前も仮名となっております。
霊能者は何度か試みた後、ようやく目的の相手の霊意識を捕捉して会話が始まるが…
<鑑定開始からしばらくは目的の人物を霊眼で探査し続けていたが、やがてエイ!という気合いとともに、数秒沈黙して精神集中>
[霊能者]
…うーん、難しいですね。非常に捉えにくいです。この男性の意識は…。
[金瀬]
えっ?いつも先生、チャッチャッとした感じでスゴく正確に透視してくれるじゃないですか?
[霊能者]
透視と口寄せは方法が違いますし、何というか、いつもとはかなり勝手が違う感じなんですよ。向こうの魂の意識との間に、こちらの念が届かないような壁が張り巡らされているというか…。つかぬことを伺いますが、この男性のことで私に相談されたのは今回が初めてですよね。
[金瀬]
はい、今までは自分の仕事や友人がらみのご相談ばかりしていましたから。恋愛の悩みは初めてです。
[霊能者]
相手は職場の上司。年齢は30歳。もちろん未婚。で、毎日、必ず顔を合わせているのでしたっけ?
[金瀬]
ええ、そうですが…。
[霊能者]
<しばらく無言で意識集中。やがて、低い声でうなり始める>
んんん、んん…。
[金瀬]
<不安げに見守っている様子>
[霊能者]
ああ、ようやくこの方の意識をキャッチしました。今から降ろしますので、話し掛けてみてください。
[金瀬]
お願いします。
[霊能者]
<霊降ろしが完了。声色が変わる>
…ああ…もうウンザリだよ…あの女、一体どうなっているんだ…。
[金瀬]
あの…係長、マスダ係長ですよね?
[霊能者]
…ったく、もういい加減にしてくれっ…なんで俺がこんな目に…チクショウ…。
<降ろされた相手は相談者の呼び掛けが耳に入らない様子。しばらくの間、脅えて苛立つような独り言が続く>
[金瀬]
あの!マスダさん、聞こえてますか。私です。金瀬です。
[霊能者]
ん?…あ、金瀬君?…どうして?…。
[金瀬]
今、係長の意識を呼び出してもらっているんです。
[霊能者]
え?…ど、どういう意味?
[金瀬]
あの、先週の金曜日にですね、私、たまたま麻布で係長の姿を見たんです。女性と一緒でしたよね。
[霊能者]
女?…ああ、▲▲▲(特定の飲食店名と思われる名称が出でるが、プライバシーに配慮して伏せ字)で飲んでいた時のこと?金瀬君、見ていたのか…。
[金瀬]
はい、そうです。あのお店で隣にいた人はもしかして、恋人とか?
[霊能者]
え?…恋人?…アハ、アハハハハ!
<いきなり大声で笑い出す>
…冗談じゃないよ!あの女のせいで大変な目に遭ってるんだよっ!
霊能者に憑依した男性の意識が激高し、思わずたじろぐ相談者
[金瀬]
<いきなり大声を出されて萎縮している様子>
[霊能者]
俺、もうあいつから逃げられないよっ!ああ、どうすりゃ良いんだっ!助けてくれよっ!
[金瀬]
マスダさん…どうしちゃったの…。
[霊能者]
ん、んんん…
<再び、低くうなり出す。やがて声色が元に戻り>
…ダメです。男性の意識がいきなり離れました。これ以上続けても無駄だと思います。
[金瀬]
<動揺が続いている様子。声が出ない>
[霊能者]
私も予期できなかったことで、大変申し訳ありません。先方にかなり特殊な事情があるようで…。
[金瀬]
特殊な事情?…せ、先生!マスダさん、どうしちゃったんですか?!
[霊能者]
すいません。今、私の脳裏をよぎっていた霊の映像や言葉を整理しますから…。
<少しのブランクを置いて話を続ける>
…あの、先に捕捉としてお聞きしますが、今日の昼間もマスダさんという方と職場で顔を合わせているんですよね。その時にはどんな感じでしたか?
[金瀬]
いつも通りです。にこやかで優しくて。今日も部署内を明るく引っ張ってくれていました。
[霊能者]
密かに悩んでいるような様子は?
[金瀬]
いいえ、私は少なくとも感じませんでした。
[霊能者]
そうですか…。じつは先ほど私が同調した生き霊の意識には、当人のリアルタイムの感情変化が反映されていたんです。
[金瀬]
それ、どういう意味ですか?
[霊能者]
つまりこの時間(鑑定開始の時刻は午後11時近く)、マスダさんは何か苛立つようなトラブルに見舞われていた、あるいは今もその状態が続いているということです。口寄せを始めた段階で、こちらの念がなかなか生き霊の意識に辿り着けなかったこともそのこととつながっているような気がするんです。こんなことを言うと、お客様を無用に怖がらせてしまいますけれど…。
[金瀬]
構いません。続けてください。
[霊能者]
第三者が霊的に妨害している可能性があるんです。
口寄せ中の最中、霊能者が見ていた青いセーター姿の女
[金瀬]
先生、それは一体どういうことなのか…。
[霊能者]
口寄せをしていた時、見えていた世界をお伝えしますね。最初に見えたのは男性ではなく、女性の姿でした。身体の線が浮き出した、ちょっとセクシーなセーターを着た20代半ばくらいの人です。上は青で下はベージュのパンツ。髪は肩先までのストレートで、それを少し赤みがかった色合いに染めているようでした。
[金瀬]
<息を飲む>
それって、あの晩、マスダさんと一緒にいた女の子…。
[霊能者]
ですよね?はっきり申し上げるとこの女性、かなりマズい相手です。
[金瀬]
マズい?それは浮気性とか性悪女ってこと?
[霊能者]
いや、そうした人間としての性格や素行以前の問題です。蛇が憑いています。それもかなり強力な蛇神の筋です。
[金瀬]
何…イヤッ、怖い!
[霊能者]
難しいことは飛ばして説明しますと、世の中には霊的に特殊な家系の筋というのがあるんです。代表的なのは、先祖代々お稲荷さんを信仰していてその眷属のお狐様に守られているキツネの筋とか、あるいは各地方で様々な土俗信仰を続けている家系などもあります。昔はともかく、プライバシー保護や人権問題などが絡む現代の社会では、そうした憑き物筋の話題が表に出ることはほとんどないのですが。
[金瀬]
そういえば、私もオカルトマンガやその手のドラマで見たことがあります。イヌガミ憑きとか、クダギツネとかいうアレも同じですよね?
[霊能者]
ええ、まさにそれです。この女性の場合は代々、特殊な蛇の神様に守られている血筋なんですよ。地域によって「トウビョウ」とか「スイカズラ」とか色々な呼び名がありますが、いずれも蛇体をした一種の自然精霊のことです。
[金瀬]
あの、先生。マスダさんはそういう女の人と、悪い意味で関わりを持ってしまったということですか?
[霊能者]
はい。はっきり申し上げて、そういうことです。恐らく交際期間は数ヶ月といったところでしょうか。初めは行きずりのような感じで男女の関係になって、その後は女性の方が彼に執心して、文字通り「カラミついて」きています。
[金瀬]
ショックだわ…。女性関係はしっかりした人だと思っていたのに…。
[霊能者]
たとえ普段は真面目で身持ちがしっかりした男性でも、こういう場合は「魅入られる」という現象が起きますからね。とくに蛇神憑きの女性というのは、男性からすると抗えない性的魅力を発しているものですから。
[金瀬]
でも、本当に彼、ナンパするとかそういうチャラついたタイプじゃないんです!
[霊能者]
ですから、何と表現すれば良いのか…。このタイプの異性と出会うと一種の強制力と申しますか、それだけで霊障と言っても過言ではないような不可解な現象が起きてしまうことがあるんです。私たちの専門用語では色情因縁と呼んでいますが。
[金瀬]
それじゃ、さっき先生が口寄せしていた時、マスダさんが苦しそうだったのはなぜ?それほどセクシーな女の人と一緒にいたら、むしろ逆なんじゃないですか?
[霊能者]
おそらくその女性自体は今、マスダさんと一緒ではないはずですよ。無意識に生き霊を飛ばして、就寝中の彼を苦しめています。アレはそういう悪夢を見ながらのうわ言に違いありません。
緊急措置として生き霊外しの遠隔除霊を行い、ひとまず成り行きを見ることに
[霊能者]
この先はあなたのお気持ち次第なのですが、もしこのことでマスダさんへの想いが冷めたというのであれば、ここでいったんご相談も終了という形が良いと思うのですが、いかがでしょうか。こうした特殊な憑き物筋を相手にすると、たとえ第三者であってもそれなりの被害は免れませんし。
[金瀬]
<しばらく逡巡する様子>
でも…やっぱり、彼のことが心配です。もし先生の力をお借りしてその女の子に勝てたら、代わりに私の方を振り向いてくれる可能性はありますか?
[霊能者]
残念ながら、現時点では何とも言えないですね。第一この手の女性を恋敵にすると、三角関係の不安定な状況が長引きますよ?決して怖がらせるために言っているのではないのですが、向こうが諦めるまでは強力な念を何度でも飛ばしてきますし、生き霊の障りで精神的に消耗していくマスダさんを支えるのも大変ですし。
[金瀬]
うーん、たしかに簡単に答えを出すことはできないですね…。
[霊能者]
とりあえず今は、緊急避難的な除霊を施しておきます。後はマスダさんの様子を慎重に観察していてください。そして、もしあなたに悩みを打ち明けるようだったら、素直にそれを聞いてあげて。
[金瀬]
分かりました。様子見ということですよね。
[霊能者]
そうです。性急に結論を出す必要はありません。
[金瀬]
彼の状況に変化があったら、またすぐにご相談して良いですか?
[霊能者]
もちろんです。あなた自身が「この恋からは身を引く」と考えない限り、私もとことんお付き合いをさせていただきます。
[金瀬]
心強いです。ありがとうございました!
[霊能者]
それでは失礼して…エイッ!…
<裂帛の気合いとともに、電話越しに簡便な遠隔除霊を修する。それも数分で終わり、鑑定終了>
その後の経過
3月中旬、相談者本人の談
日本でもコロナの問題が深刻化していますが、先生はいかがお過ごしでしょうか。
私の勤め先は今のところ平常運転という感じなのですが、この先は本部の指導でテレワークに移る部署が出てくるかもしれません。うちの部署が該当するかどうかは業務の内容的に微妙ですが、課長の話では月末までには正式な方針が下るということでした。
鑑定の際に指摘された通り、その後はマスダ係長の様子が目に見えてやつれていきました。以前のような明るさが失われ終始、覇気の無い目でPCに向かっています。もっとも今では課員の全員がマスクをしているので、その細かい表情まで読み取ることはできなくなりましたが…。
いっぽう、私の個人的な想いが満たされるという意味では、この1ヶ月半あまりのうちにそれなりの進展も見られました。2月半ばの週末近く、オフィス内の休憩スペースでコーヒーを飲んでいたら、そこへ偶然、マスダさんがやってきました。それで5分くらい雑談をして、「たまには、景気づけにみんなで飲もう」ということになったんです。
そして終業後、デスクを並べる同僚数人で会社近くの居酒屋さんに行ったのですが、帰り道は2人だけで同じ電車に乗って、彼のプライベートをそれとなく聞くことができました。会話の中で彼、「最近、よく寝れないんだよね」というセリフを連発していました。また、「係長はカノジョ、いないんですか?」と、わざと冗談交じりの口調で探りを入れたら、急に強張った顔付きになって、「イヤ…それが…」と急に言葉を濁していました。
「もしかして、カノジョと上手く行っていないんですか?」
「カノジョはいないよ。たださ、何て言うかさ、つきまとい…?」
「えっ?女の子の方から?」
「んん、ちょっとヤバいかも…。あ、こんなこと、君に言うべきじゃないよね。ごめん、今の話は忘れて!」
と、車中でそんな核心的なやり取りをしたことまではっきりと憶えています。これって相手の女が生き霊を飛ばしているだけじゃなくて、実際にストーキングをしているということなのでしょうか?
家へ帰ってからも気になってしかたがなくて、すぐに先生にお話ししたいと考えたのですが、「深入りするからには、こちらもそれなりの覚悟は決めてからでなくては」と思い止まりました。
でも現在もなお、彼に対する想いがどうしても止みません。近々、またあらためてご相談に乗っていただくことになりそうです。私が間に入るという形でマスダさんの除霊を続けてもらって、果たしてどの程度の効果があるものなのか。あるいは他に有効な撃退法などはないかなど、ぜひお聞きできればと願っています。
口寄せ鑑定再録 霊魂との対話 / 鑑定実例No.03