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陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第四十話「彷徨うセスナ」

プライベートの友人から、電話相談を受けたお話しです。

「ここ1年ほど、伯父ちゃんの夢をたびたび見る」。友人の伯父さんは、10年ほど前に病死しています。音楽家で会社経営者の顔を持ち、セスナの免許を持っていて、希望と時間があれば誰でもセスナに乗せてくれるような、彼女(友人)が自慢出来る伯父さんでした。また伯父さんにとっても彼女は姪御として可愛かったらしく、よく呼ばれては一緒にピアノを弾いたり、セスナに乗せてもらったりしたそうです。

伯父さんの死後、普段はそれほど思い出さなかったのですが、伯父さんがこの1年よく夢に現れる、と。伯父さんはセスナに乗っていて、彼女は右座席に座り、雲間を抜けて飛び、しばらくすると、「さあ、この辺で降りよう、おじちゃんは違う所にいかないといけない」と、地上に着陸することもなく自分を置いてセスナが遠く飛んでいく、そんな夢を見るそうです。「もう10年くらい経つのに伯父ちゃんはまだ彷徨っているの?それに伯母ちゃんはなにやら宗教に入ってしまい、お墓が遠いの……」電話口でそう言う彼女からは、確かに霊障を感じました。

その夜、わたしは意識を飛ばし、夢の中でセスナに乗っていました。左にいるのは彼女の伯父さん。しばらくすると彼女の夢と同じように「降りよう」と言われましたが、霊交信で「どうしてですか?」と訊ねてみました。すると、「うるさい」と。「うるさい?」「周りがうるさいんだ!」そう言って伯父さんは急に操縦桿やペダルから手足を離し、自分の両耳をふさぎ、「兄貴(他界)のところに行きたい!音がうるさくて出口が分からない!どこだ!おい○○兄!」と答えたのです。意識を周囲に向けてみると、どこからか騒々しい程の読経の声が!太鼓の音も鳴り出し、そこでわたしは夢から投げ出されました。

翌日、わたしは彼女に伯父さんの夢のことを話し、「宗教的に騒音のような儀式。訊いてみてくれる?」と頼みました。あんなにうるさい環境だと音楽家でなくても耳障りにも程がある、ある意味地獄です。

後日、彼女から連絡があり、母親とお墓参りに行った際に宗教法人に寄り話を聞くと、確かに先祖供養や魂供養として踊りや笛、太鼓を叩く、と。彼女は母親と2人で伯母さんに話してみたそうですが、伯母さんは社交ダンスとカラオケに夢中、夫の墓は宗教任せ。「あの宗教なら成仏できるそうだからお金払って全部任せている」話にもならず、お墓を移すことも出来ない状態だそうです。

それを聞いて霊視すると、伯母さんの周りには低級霊が這っており、動物霊憑きギリギリの状態でした。犬たちが唸っていましたし、どうやら過去の業がかなり強いようでした。

わたしは再度、夢の中で伯父さんのセスナに乗りました。「わたしは○○さんの友達です。近いうちに○○さんにお兄さんのお墓を案内してもらいますから、伯父さんはその素晴らしい聴覚、絶対音感で彼女の声についてきてください」わたしはあえて「大丈夫ではない家族」のことを伝えませんでした。伯父さんにできることはもう「成仏」しかないのです。地獄に堕ちず、成仏する、ご自身がそれを克服することで、次に続く方たちがまたそうして頑張れるのです。また、成仏することで、逝かれたお兄さんたちと力を合わせ、子孫たちを守ることもできるのです。

後日、友人に伯父さんを誘導するようにお墓参りをしてもらい、その日にわたしもご供養の念仏をあげさせていただきました。それから数ヶ月経った頃、その友人から連絡があり、伯父さんの夢をパッタリ見なくなった、と。伯父さんはようやく修行の旅に出られたのでしょう。

尼子の百物語 / 第四十話「彷徨うセスナ」