陸奥国の神秘・電話占い
menu
尼子の百物語

第二十九話「古民家をリフォームした別荘」

初老の主婦の方からご相談の電話をいただきました。金運に恵まれた方のようで、電話越しにすぐ、裕福な方特有のキラキラと輝く金色のオーラを感じ取りました。「霊能者の先生にご相談があるのですが……」彼女の悩みは最近夫婦で買ったという別荘に関するものでした。

旦那様は元々会社経営に成功した方で、現在は社長を退いて会長職。息子さん二人もすでに独り立ちし、ふたりは老後の楽しみを考える上で田舎に別荘を一軒買うことにしたそうです。避暑地として有名で温泉も出る某観光地で売り出されていた、古民家をリフォームしたという日本家屋を購入されました。そして「その別荘に妙な気配がするのです」というのがご相談内容でした。

夜にトイレに行こうとする際、廊下の端を何かが横切る気配がしたり、パタパタという誰かの足音が聞こえてきたりするそうです。「もしかして前に何か事件があった家なのでは……」そう思ったご相談者様は不動産販売業者に訊ねてみました。

しかし「事件や事故の類は一切ない」とのこと。前の持ち主の方は老衰で亡くなったそうですが、お亡くなりになったのは病院で、お葬式もしっかり挙げられたとのこと。その後、親族の方々が相談して、誰も住まなくなった家を売りに出された、という経緯だったそうです。良くないことは何一つ起こっていません。

「でも、妙な気配がするんです」そう言うご相談者様のご依頼に応え、別荘に意識を飛ばし、霊視をしてみました。すると、そこには小さな子供の霊がいました。特に邪悪な気配はしません。「おいで」と言うと、素直に私の中に入ってきてくれました。語り掛けてみたところ「ここはお婆ちゃんの家だよ」と話し始めました。

「僕は死んじゃったから、大好きなお婆ちゃんの家に行くことにしたんだ」とのこと。なんと別荘にいたのは前の持ち主のお孫さんでした。この子はどうやら幼い頃に病気か事故で命を落とし、そのまま“大好きなお婆ちゃんの家”に棲みついていたのです。私は本物の小さい子をあやすような口調で霊に言い聞かせました。

「お婆ちゃんはもうあの家にはいないの。天国へ旅立ったのよ。あなたも天国へ行きなさい。そうすればお婆ちゃんに会えるわ」そう教えたのです。するとその子は「わかった。じゃあ僕はお婆ちゃんに会いに天国へ行くね」と言い、スーッと消えていきました。

ご依頼者である彼女に経緯を説明すると「そう……」と感慨深そうに一言おっしゃり、しばらく沈黙された後、「でも、その子も天国でお婆ちゃんに会えているはずね。会えるのを祈ることにします。ありがとうございました」とお礼をおっしゃって下さいました。

また、鑑定から半年ほど経った頃、改めてお便りをいただきました。それによると、鑑定以降、別荘の妙な気配はぱったりと消え、まったくしなくなったそうです。

尼子の百物語 / 第二十九話「古民家をリフォームした別荘」