陸奥国の神秘 尼子

陸奥国の神秘 尼子

第一話:不倫

風の強いその晩、私の元へ一本のご相談が舞い込みました。
お電話をくださったのは、東京都新宿区にお住まいの真央さん(31歳・独身女性)。霊視したところ、クリッとした瞳が印象的な色白の女性です。不倫相手との交際歴はもう3年にもなり、彼のことは愛しているがそろそろ不倫の泥沼地獄から抜け出したい…というお悩みでした。このまま時が来るのを待てば正妻にとってかわることができるのか、あるいは自分の赤い糸は彼ではない別の相手とつながっているのか…。彼女は自分の将来像を思い描くことができず、どうすべきかの答えを出せずにいたのです。

さらに霊視を進めていくと、ある男性の姿が浮かんできました。その人物は大輔さん(50代・既婚男性)という某企業の経営者です。眼光が鋭く目鼻立ちのハッキリした顔立ちで、180センチはありそうな長身。派手なスーツに身を包んでいて、一見すると芸能人のようでもあります。二人の関係が始まったのは、真央さんの一目ぼれがきっかけでした。大輔さんは真央さんの勤務先であるイベント会社主催の講演会にゲストとして訪れたのですが、その仕事の担当者が真央さんだったのです。

真央さんの好意を敏感に察知した大輔さんの行動は、ハンターのごとく素早いものでした。恋の場数を多く踏んでいる大輔さんにとって、真央さんの気持ちを操ることなどは赤子の手を捻るよりも簡単なことだったでしょう。それからあっという間に二人は不倫の関係になってしまったのです。もともとタイプだっただけに、真央さんは大輔さんに抗うことができません。そのままズルズルと関係は続き、とうとう三年の月日を費やしてしまいました。
本来は誠実な人柄である真央さんは、不倫をしている自分のことがどうしても好きになれません。「妻子ある男性との愛に溺れ、人としての道を踏み外してしまった…」そんな懺悔の気持ちを抱えながらこの三年間を生きてきたため、その波動は傷つき、大きく乱れていたのです。しかも、大輔さんは真央さんのことを単なる不倫相手として見ていただけ。真央さんにもの凄く執着し、離れていくことを拒むくせに、「妻と別れる気はない」「君は浮気相手でしかない」などと、冷たく突き放していたのです。波動の乱れた状態では、様々なシーンで不運に見舞われます。真央さんにとってのこの三年間は恋愛面だけに限らず、様々な場面で不遇な扱いを受けていたはずです。どれほど辛い日々だったことでしょう。彼女の波動は力がなく、たとえるなら使い古した雑巾のようにボロボロでした。

彼からひどい扱いを受け、身も心もボロボロになってしまった真央さんでしたが、一方では彼女の想いもまた、大輔さんのことを傷めつけていました。真央さんの想い(執着心)は靄のようにぼんやりと力なく彼の魂を包んでいるだけのように見えますが、その実、彼の魂をじわじわと締め付けていたのです。まさに、「真綿で首を絞めるように」という表現がぴったりくる状態。お互いが傷つけあい、痛めつけあう関係に未来はありません。でも、それでも真央さんは大輔さんのことが好きでたまりません。どんなに弄ばれ、疲れ果てていても、彼のことを愛していたのです。
そんなご縁にデメリットはあってもメリットはありません。そんなことは霊視をしなくても、真央さん自身、百も承知でしょう。魂をすり減らすだけの恋だと告げると、私の言葉があらかじめわかっていたかのように真央さんは静かに微笑し、「彼と私の縁を切ってください」と言いました。

縁切り霊術を執り行なってみて、この二人の縁の強さが嫌というほどよくわかりました。二人をつなぐ縁を視覚化したところ、まるでロープのように太く頑丈な縁だったのです。しかしその縁の色といったら、まるで真夜中の海のよう。真っ暗で寒々しい色に思わず身震いをしてしまったほどです。このような縁を持っている二人の関係は幸せなものとはなりませんが、抗いがたいほどの効力を持っています。二人が出逢ったのは偶然ではなく、もはや必然。何もないまま終わるはずがないのです。

彼女の身体には、まるで蛇がからみつくようにして彼の気持ち(執着心)がとり憑いています。霊視で見えた異様な光景にゾッとなりながらも、私は一心に祈祷句を唱え続けました。祈れば祈るほど、蛇は苦しくなるのか暴れます。離れまいと必死で真央さんに巻きつき、身体をキリキリと締め上げるのです。おそらく一瞬でも気を抜けば、その蛇は私を襲っていたでしょう。額ににじむ汗をぬぐうことさえ許されない状況のなか、私はただただ祈り続けました。

霞のように大輔さんを取り囲む真央さんの思念も、彼女に巻きつく大輔さんの蛇のような執着心もいつしか消えさり、私はようやく一息つくことができました。やっと二人の縁を断ち切ることができたのです。そのことを真央さんに告げると、彼女ははじめて若い女性らしい明るい声でお礼を言ってくれました。悪縁を断ち切ったことで波動の乱れもなくなり、これからはすべてうまく回り始めるでしょう。

このように、恋愛における感情というものは「縁」の前では無力。ただただその縁に翻弄され、よくない関係だとわかっていても愛に走ってしまうことになるのです。「縁」の恐ろしいところは、抗うことの難しい点にあるといえるでしょう。ですから皆様も悪縁をつかんでしまったと感じたら、電話占い尼子のイタコにご相談ください。必ずや悪縁を断ち切り、幸せな未来を手繰り寄せます。