陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第二十一話「生霊が出る部屋」

事故物件に入居してしまった方からのご依頼を受けました。引っ越してすぐ、部屋に女性の幽霊が出たそうで、最初は気のせいだと思ったそうですか、それからも何度も目撃したそうです。不動産屋や管理会社に問い合わせても「自殺や事故などは一切ない」と言われるばかりで、調べても何も出てこなかったとのこと。家に帰るのも怖くなってしまい、退去を考え始めた頃、友人から霊能者に相談することを勧められ、電話占い尼子を利用されたそうです。

鑑定のお電話を受けた際、はっきりとした霊気を感じました。私は霊気を匂いで感じ取るタイプで、良い霊体であれば芳しい香りを、悪い霊体であれば嫌悪感を催す香りをかぎ取ります。これはもちろん霊的な感覚であって、実際に匂うわけではありません。そして、その霊能力が、電話越しに匂いを感じ取ったのです。それは芳しいわけでもなく、強い嫌悪感を催すものでもない、少しだけクセのある匂いでした。

なんらかの霊障問題である、ということはすぐにわかりました。その匂いはご相談者様自身ではなく、ご相談者様の居る空間全体から漂ってきていました。おそらくこの方の問題は今いらっしゃる場所にある。そう悟り、「今、霊的に問題のある場所にいらっしゃいますね」と言うと、とても驚いて「やっぱりこの部屋はおかしいんですね」とおっしゃいました。

霊視を進めた結果、さまざまなことが分かりました。ご相談者様がお住まいになられている部屋は、実際に事故物件ではなく、そこで事件や死亡事故、自殺の類は一切起きていないことがわかりました。そして、部屋に出るという女性の霊は、死者霊ではなく、生霊であることがわかりました。その正体は、前の入居者の元恋人。破局して以降も相手のことを諦めきれず、知らず知らずのうちに生霊を飛ばしていたのです。女性は一時期、ご相談者様の部屋で彼と半同棲をしていたようで、部屋に対する執着が強く、彼が引っ越して以降もずっと部屋に向けて念を送り続けていました。

まずはご相談者様に事情をご説明し、死者霊ではないこと、別れた女性の未練が生霊となって現れていることをお教えしました。それまでとても怖がっていた様子でしたが、ご説明を聞くにつれてだんだん納得され、「そういえばとても悲しそうな雰囲気だった」とか「キッチンで料理をしているような姿を見たこともあった」と、見たものについてお話して下さいました。

「確かに、死んだ人の霊だったら、キッチンで料理したりなんかしないですよね。わかんないですけど。昔ここで同棲してた女性の未練ってすごく納得できます」とおっしゃいました。しかしながら、事情を説明したところで、心霊現象には変わりはありません。「やっぱりあんまり気味のいいものじゃないですね。どうにかなりませんか?」とのことで、生霊祓いを行いました。もうこの部屋に元恋人はいないこと、執着しても無駄だから次の相手を探すべきであることを諭すと、生霊はすぐに消えていきました。

生霊はその人の強い執着や憎悪が飛ばす念の一種であり、その人の魂の一部でもあります。生霊の憑依をどうにかしたい場合、その生霊に向けて語りかけることで、リンクしている本人の深層意識にも同じ意思を伝播させることが可能です。我々の用いるイタコ霊術では、この原理を用いて意中の相手の魂の一部を「生霊降ろし」として呼び出し、本心を聞き出したり、心変えを行ったりすることも可能です。生霊を説き伏せるのは、我々のイタコ霊術が最も得意とする分野なのです。

鑑定後しばらくして、ご相談者様からお礼とご報告のお便りを頂戴しました。鑑定以降、霊はまったく出なくなった、とのことでした。

尼子の百物語 / 第二十一話「生霊が出る部屋」