陸奥国の神秘 尼子

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第十八話 「中古の別荘」

「最近別荘を買ったのですが、その家の様子がおかしいのです。遠隔での霊視は可能でしょうか?」挨拶もそこそこに本題に入られたのは今回の鑑定依頼者の雅文さん(仮名・48歳)。会社経営者の方のようで、金銭的に恵まれている方、社会的に高い地位に就いている方特有のオーラを感じ取ることができました。しかしそれと同時に、霊的なものと関わった方特有の乱れた波動を感じ、これは霊障に関するご相談だとすぐに感じ取ることができました。差し当たってはまず別荘を簡単に霊視し、「真っ白な壁、屋根は赤茶色、二階建て、一階にはリビングや台所、あなたがお買い求めになったアンティーク風テーブルと椅子が見えます。二階には宿泊用の部屋が3つありますね。あと庭には桜の木が生えていますね」と申し上げると、びっくりされたご様子で「全て当たっています」と言われました。

雅文さんが先日購入したという別荘は、東京から車で2時間ほどの場所にある有名な観光地にある物件。新築ではなく、前の持ち主がいる中古の物件だそうです。夏場に家族で避暑に行ける場所を持とうと思い手頃な物件を購入した、とのことでした。内覧もしっかりしており、雰囲気を気に入って購入に踏み切ったそうですが、実際に家族で泊まりに行ってみたところ、おかしな現象が起きたのです。初めて宿泊した夜、一家全員でリビングでくつろいでいると、2階で人の気配がするのです。トッ、トッ、トッ、と誰かが歩く物音がしたり、ドアが軋む音がしたり……。家族全員がリビングにいるのですから、二階には誰もいないはずです。なのに明らかに人の気配がします。奥様もお子さんふたりもその物音を聞いたようで、「ここ、お化けが出るんじゃない?」と怖がってしまいました。

その夜は皆でリビングで夜を明かし、翌朝、一旦家に帰ることになりました。後日、雅文さんは件の別荘を取り扱っていた不動産屋に電話をかけました。あの家はおかしな気配がする、何か曰くがあるのではないか、心理的瑕疵物件なのではないか、と直接問いただしたそうですが、不動産屋曰く、そういった曰くはまったくない、とのことでした。前の持ち主だった方は高齢になって別荘を管理しきれなくなり売りに出したそうです。

霊視をしてみましたところ、確かにその別荘には霊の気配がありました。しかも、やはり前の持ち主の方に関係しているようです。焦点を絞り霊感を働かせると、正体が見えてきました。霊の正体は前の持ち主のお孫さんです。その別荘は前の持ち主の方が、お子さん家族とそのお孫さんと楽しむために建てたものです。お子さん家族もお孫さんもそこをとても気に入っていたそうですが、不幸なことに、その後お孫さんは交通事故に遭い、お亡くなりになったそうです。死後、お孫さんはなかなか成仏せずに、生前の楽しかった思い出が眠る場所をうろついており、それが別荘にも出現しているのです。不動産の告知義務には当然抵触していませんし、悪い曰くの染み付いた場所でもありませんので、当然嫌な気配もしませんし、一見まったく霊と関わりのない物件でした。

視えました霊視結果を丁寧にご説明し、「決して悪い霊ではありませんし、いつでも現れるわけでもありません。決して力の強い霊体ではありませんので、追い払うことは可能ですが、どちらかというと、霊体のためにも浄霊させてあげた方がよろしいでしょうね」と申し上げると、雅文さんは「ぜひよろしくお願いします」とおっしゃいました。そこで私は浄霊の祈祷を唱えながら遠隔で念を飛ばし、その霊体と接触しました。霊体は現世にまだ未練がある様子でしたが、「このままでは不浄霊になってしまう、それが一番あなたのためにならない、早く霊界に返って次の生まれ変わりのために準備をするべきだ」と説得いたしました。霊体は素直に聞き入れてくれて、そのまま成仏していきました。

その後、雅文さんは念のため別荘に一人で宿泊し、妙な気配が消えたかどうか確認してみたそうです。全く何も起きなかった、とのことでした。家族には「ネズミかハクビシンでもいたのだろう」と説明して納得させたとのこと。それから何度か家族で泊まっているそうですが、妙な現象はあれ以降一度も起きていない、とのことでした。