陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第十七話「変わってしまった友人」

「友人の背中に変なものが見えたんです。一体なんなのか教えて下さい」その電話は相談ではなく、霊能者の見解を聞きたい、という質問でした。電話の主は明穂さん(仮名)。ご本人様は会社勤めをしている社会人の方です。結婚を誓っている彼氏もおり、ご本人様は公私共にまったく問題のない状況とのことでした。実際、電話越しに流れてくる波動も特に問題はなく、非常に安定されているご様子でした。

そんな明穂さんの鑑定依頼は、「久しぶりに会った友人の背中に変なものが見えた」というもの。先日、大学時代の友人である若菜さん(仮名)と数年ぶりにお会いして一緒にお酒を飲んだそうです。ふたりは大学生の頃とても仲がよかったのですが、社会人になってからはそれぞれの生活が忙しく、気がつけば疎遠になっていってしまいました。そんなふたりでしたが、先日たまたまSNS上で再会し、「久しぶりに会おう」ということになったそうです。

久しぶりに会った若菜さんは、大学生の頃よりとても綺麗になっていて驚いたそうです。雰囲気も以前より垢抜けていて、着ている服や持っている鞄もよく見ると高いブランド物ばかり。髪もネイルも完璧で、まさにパーフェクトな女性、といった感じでした。またよく見たところ、目や鼻の周りの雰囲気が少し変わっていて、この子整形したのかな? と思ったそうです。

違和感を覚えつつ「綺麗になったね~」秋穂さんがそう言うと、若菜さんは「あんたは相変わらずね(笑)」と少し皮肉っぽく返してきて、(あれ?こんな子だったっけ……)と違和感を覚えたそうです。そして帰り際、「またね」「また飲も」と言いつつ別れ、去っていく彼女の背中をふと振り返った時、明穂さんはそこにおかしな光景を見ました。背中に真っ黒な男が覆いかぶさっており、その身体は蛇のように若菜さんをグルグルと取り囲んでいたのです。

「あれはどう見てもこの世のものとは思えませんでした。先生、あれは一体何なのでしょうか。若菜は何か悪いものに取り憑かれているとしか……」そう言う秋穂さんのご依頼で、まず私は若菜さんを遠隔霊視してみることにしました。明穂さんの魂へ思念を飛ばし、その縁の結びつきの中から若菜さんとの糸を見つけ出し、そこを辿ることで若菜さんへと辿り着きました。するとやはり、若菜さんは霊的にかなり不安定な状態であり、ご本人様の霊体を取り囲むように負の念がびっしりとまとわりついていました。

また、ご本人様も現状として少々問題のある状態であることがわかりました。どうやら若菜さんは都内の企業で事務職をされているようですが、美容や服装、食事などにかなりのお金をかけており、昼職のお給料だけでは賄いきれず、こっそり夜の仕事をしていることが判明したのです。心中を霊視いたしましたところ、虚栄心や見栄、その裏側にある怯えやコンプレックスがぐるぐると渦を巻いておりました。また、彼女の背中にまとわりついていた黒い影の正体は、夜の仕事でついたお客さんの生き霊のようです。若菜さんは夜の世界で、お客さんの恋愛感情を刺激してお店に通わせるやり方をしているようで、それにより鬱積した男性客の強烈な念が生き霊となり、若菜さんに憑依していたのです。

霊視で見えた一連の事実を明穂さんにお伝えすると、明穂さんは大変納得されていたご様子でした。「私、こういう言い方するとすごく冷たい女のように思われそうですけど、彼女を救ってあげたいとか、そういうことは思っていないんです。今の彼女がそうなってしまったのも、彼女の選択の結果だし、それも彼女の人生ですから。私は彼女の人生まで背負うことはできない。ただ知りたかったんです。彼女の背中に見えた黒い影の正体と、彼女が一体どうしてああなってしまったのかを……」明穂さんはそう話し、最後に「本当にありがとうございました」とお礼をくださり、そこで鑑定は終了となりました。

悪しき霊や悪しき念は人の心の弱さに憑依するもの。そして一度憑依すると対象者に霊的悪影響を及ぼし、精神をどんどん蝕んでいき、悪循環に陥らせます。今回のご相談者様である明穂さんはそういった負のスパイラルとは無縁の方でしたが、そのご友人の若菜さんに関しては、完全にこの負のスパイラル状態となっておりました。ここまで悪循環が進行してしまった場合、自力での立て直しはほぼ不可能と言えるかもしれません。

もし彼女自身が私のような霊能者にご相談して下されば、浄化や波動修正など様々な措置を講ずることが可能です。しかし、こればかりはご本人様の意思次第ですので、我々にはどうしようもない部分でございます。私の立場から言えることは、もし本記事を御覧になっている方が似たような状況に陥っているのであればただちに霊能者へご相談下さい、ということです。

尼子の百物語 / 第十七話「変わってしまった友人」