陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第十六話「不気味な古本」

「助けてください。古本屋でおかしな本を買ってしまったんです」電話を受け取ると、その方はひどく憔悴した雰囲気でそう話し始めました。今回の話の依頼者である翔太さん(仮名・21歳)です。電話越しには並々ならぬ異様な霊気が漂ってきており、この鑑定依頼は恋愛相談や人生相談ではなく心霊系の相談である、とすぐにわかりました。

翔太さんは読書が好きな大学生。とにかく色々な本をたくさん読みたいという一心で新品ではなく中古の本を買うことが多く、よく古本屋巡りをするとのことです。今回手に入れてしまった本も古本屋巡りの最中に手に入れた本でした。内容は心霊オカルト系の怖い話を集めたもので、装丁が見るからに古く、発行年は昭和50年代。昔のオカルト本はそういったマニアの間で喜ばれるらしく、翔太さんはサブカル好きなこともあり、すぐに購入したそうです。

良い本を安価で手に入れた。そう思ったそうですが、家に帰ってじっくり読んでみると、その本は所々おかしいことに気付きました。まずページが所々抜け落ちているのです。抜けているページの箇所をよく見ると、刃物のようなもので綺麗に切り取られたようになっていました。そして、ページをめくり続けていくと、最後、奥付の対向にある白紙のページに、呪符のような落書きが書かれていたのです。元々は赤いインクで書いたもののようでしたが、時間が経って茶色っぽく変色していました。見るからに不気味な本でしたが、翔太さんは「これも何かのネタになるし、SNSにアップしたら仲間に受けるかも」なんて軽い気持ちでいたそうです。

しかし、やはりその日からおかしなことが起きるようになりました。まず机の上に置いておいた例の本がすぐ床に落ちるのです。どれだけ机の真ん中に置いておいても、ふと目を離した隙に“ドサッ”という音がして、振り返ると本は床に落ちています。本棚に入れたりもしましたが、それでも本は気がつくと勝手に床に落ちているのです。また、夜中になると部屋のどこかから、呪文を唱えるような不気味な声が聞こえてくるようになりました。続いて家のドアや窓を“コンコン、コンコン”と誰かがノックする音まで聞こえるようになりました。流石にこれはただ事じゃない、と思った翔太さんは、ネットで霊能者を調べ、すぐに鑑定可能な電話占い尼子に電話鑑定を申し込んだ、という流れでした。

電話を受け取った瞬間から、ただならぬ霊気を感じておりましたが、霊視をすると、やはり曰くつきの物であることがわかりました。その本は以前、誰かが呪術に用いたものでした。術の目的は「特定の人に低級霊を送り込み憑依させる」というもの。怖い話を集めた本を選んだのは、霊や呪いにまつわる内容が書いてあるページを術に用いて効果を上げる目的だったようです。元の持ち主はかなり呪術に精通した方であり、それ以上に凄まじい負の念を纏っている方でした。そして、本は呪術に用いられたせいで、それ自体も低級霊を無数に呼び寄せる呪いのアイテムになってしまっていました。

除霊をすることも可能でしたが、原因は本自体にありましたので、私は「その本は焼き捨てましょう。どこか物を燃やしても良い場所で本を焼き、灰も土中に埋めて下さい。そうすれば霊障は収まります」と指示しました。翔太さんは「分かりました。明日すぐに燃やします。ありがとうございました」とおっしゃり、鑑定終了となりました。

後日頂戴しましたご報告によりますと、その翌朝早く、翔太さんは近所の河原にあるバーベキュー場まで行き、本を燃やしたそうです。本が燃えたのを確認すると、そのまま穴を掘り、灰を土中に埋めたそうです。それ以降、霊障はピタリと収まり、現在は平穏な生活を送られているとのこと。「次から古本はもっとしっかり中身をチェックしてから買うことにします。お世話になりました」と綴られていました。

中古品の売買は、良い物を安価で手に入れられるお得なやり方です。近年は中古品業者も増え、査定も厳しくなっており、あまりにおかしなものが市場に出回ることは滅多にありません。しかし、中には曰くつきの物が含まれている可能性もあります。中古品を買い求める際には、おかしな点がないか、よく吟味してから手に入れられることをお勧めします。また、もし万が一おかしな品を手に入れてしまい、良くないことが起きるようになった場合は、なるべくすみやかに我々のような霊能者にご相談下さい。すぐさま霊視で物の曰くを鑑定し、適切な対処法をお教えし、また場合によっては霊能力による除霊や浄化を行います。

尼子の百物語 / 第十六話「不気味な古本」