陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第十四話「足の霊」

「あの、うちの天井に足がいるのです」数週間前に電話鑑定のご依頼を頂戴しました瑞希さん(仮名・24歳)。電話が繋がり、最初の御挨拶をした直後にそうおっしゃいました。瑞希さんは大学を卒業して社会人になったばかりで、慣れない研修と初めての一人暮らしで大変な日々を過ごしていらっしゃるご様子でした。そんな中でつい先日、部屋の様子がおかしいことに気付いたそうです。

夜中、電気を消してベッドに入り、仰向けになって天井を見かけると、見慣れない出っ張りがあり、それはよく見ると人の足の裏だったそうです。慌てて電気をつけると、その足の裏は消えてしまいました。しかしその翌日もまた就寝前に電気を消して天井を見上げると、また足の裏がそこにあるのです。しかも、その足の裏は一日ごとに少しずつ下がってくるのです。2日後にはくるぶしが見えるようになり、5日経った今は足首あたりまで見える、とのことでした。

瑞希さんは元々あまり物怖じしない性格で「足の裏の霊なんて別に放っておけばいなくなるだろう」と思っていたそうですが、それが徐々に下がり、こちらに近付いてきている、と知ると、さすがに気持ち悪さを覚えたそうです。そして霊障問題の相談ができるところをネットで探し、電話占い尼子を見つけ、すぐに電話をかけた、とのことでした。

霊視をしましたところ、事態は思ったより深刻であることが判明しました。その足の裏の霊は間違いなく不浄霊。しかも、マンションの上の階にお住まいだった方の霊であることが判明しました。瑞希さんの真上にお住まいの住人が首を吊ってお亡くなりになっているのです。首吊り状態で息絶えると、人の首は胴体の重さにしたがいどんどん下の方に伸びていきます。

もちろんそれが物理的に床を突き抜け瑞希さんの部屋まで届くことはありません。しかし霊体は別です。その霊体はまだ誰にも発見されておらず、首吊り状態で少しずつ首筋を伸ばしながら、瑞希さんに近付き「自分がここで死んでいる」ということを告げ、あわよくば寂しさを紛らわせるため憑依しようとしている様子でした。物理的にも、霊的にも大変危険な状態であることが分かりました。

「この件は思ったより深刻です。その場所は大変危険な場所になっています。取り憑かれたくなかったら、あなたは今すぐ荷物をまとめて家を出てください。そして、しばらく誰か……彼かご友人のお宅に御厄介になりなさい。そして家を出たら、不動産屋に電話をして『上の部屋の様子がおかしい』と言いなさい。それから新しい引っ越し先を探すこと。良いですね。私の言うことに従えば全て解決します」事の真相があまりにショッキングなので、対応策のみをお伝えし、鑑定を終了しました。

一週間ほど後、瑞希さんから尼子の運営宛に事後報告が届きました。瑞希さんはそれからすぐに言われた通りにしたようです。交際中の彼に事情を話し、彼のマンションにしばらく御厄介になることにし、それからマンションを借りた際の不動産屋に電話を掛け、言った通りに告げたそうです。すると不動産屋が大家へと話を通し、上の階の様子を見ることになり……首吊り死体が発見されたとのことです。死亡推定日はやはり天井に足の裏が現れ始めた頃でした。「あの足の裏は、首を吊った上の人の……思い出すだけでゾッとします。『すぐに家を出なさい』と言って下さったこと本当に感謝です。相談してよかった」そう記されていました。

霊体は人の常識を越えた存在。時に滑稽な形で現れたり、無害そうな雰囲気で現れたりすることもあります。しかし、だからといってそれが本当に無害な存在であるとは限りません。中には、大変強力でなおかつ悪意を持つが故に、人畜無害な風貌を取っているような性質の悪い霊体もいます。「霊が現れるようになった」「霊を見た」という場合、素人判断で対応を決めるのがもっとも危険です。それがどのような姿形であっても、とにかくその道の専門である霊能者に鑑定を依頼し相談しましょう。霊能者は適切な対応策を教えてくれます。また必要とあれば除霊や浄化も行ってくれます。すぐに霊能者を頼ることで、「道連れにされる」という最悪の事態を避けることができるのです。

尼子の百物語 / 第十四話「足の霊」