陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第十三話「踊り場に佇む疲れ果てた男の霊」

先日お電話で鑑定をご依頼されましたのは主婦の昂子さん(仮名)。旦那様とお子さん二人を持つ40代の主婦の方です。下のお子さんが小学校に入学してあまり手がかからなくなってきたので、先日、思い切ってパートを初めてみたそうです。ご相談の件はそのパート先のショッピングモールに関するものでした。昂子さんはそのショッピングモールの中にある雑貨屋で働き出したそうです。

お店自体は明るく楽しい職場で、同僚も皆いい人ばかり、お仕事のほうも順調、とのことでしたが、バックヤードの階段の踊り場でたびたび幽霊を見かける、とのご相談でした。以前から妙な影のようなものがちらついていて、気にはなっていたとのことですが、先日ついにその幽霊と目が合ってしまい、うつろな表情でただこちらを見つめる霊のあまりの不気味さに、霊能者への鑑定依頼を決意。尼子へお電話を掛けてこられました。

電話を通して昂子さんの霊気を辿り、そこから件のショッピングモールを霊視をしてみましたところ、確かに昂子さんが「不気味だ」と言うバックヤードの階段の踊り場には不浄霊が住み着いており、地縛霊と化していました。霊感のない人が通れば何の変哲もない場所なのですが、多少なりとも霊感のある人であれば、妙な気配や違和感を覚えてもおかしくありません。昂子さんには潜在的に霊感があり、その地縛霊の気配を感じ取ってしまい、毎日その階段を使っているうちに波長がどんどん合っていってしまったようです。

地縛霊に関して霊視をしてみましたところ、その霊は数年前にショッピングモールの店舗で働いていた30代男性、食品販売店の店長の方であることがわかりました。大変責任感の強い方で、最終的には過労で倒れ、そのままお亡くなりになったようです。バックヤードの階段の踊り場は、仕事で疲れ果てた彼が最後に倒れた場所のようで、彼は死後もなおその場所に留まり、仕事の続きをしようとしているようでした。

「あなたはもう死んだのです。働かなくても良いのですよ」そう伝えましたが、いくら伝えても話が通じません。彼はただ踊り場の壁にもたれかかり、うつろな瞳で溜息をつくばかりでした。直接的な危険はないので、除霊や浄霊はしなくても問題ありません。ですが、その不憫さは同情を禁じ得ないものでした。

昂子さんには「その霊は危険な霊体ではないので気にしなくても良い」「どうしても気味が悪かったら、バックヤードの階段は使わないようにするか、水晶のブレスレットを身に着けるように」とアドバイスいたしました。後日送られてきましたお礼のお便りによると、昂子さんはそのショッピングモールの一角にあるパワーストーンショップで水晶のブレスレットを買い、それから愛用している、とのこと。身につけて以降も霊は時々見えるそうですが、こちらを見つめてくることはなくなった、とのことでした。

尼子の百物語 / 第十三話「踊り場に佇む疲れ果てた男の霊」