陸奥国の神秘・電話占い
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尼子の百物語

第十話「駅のホームで遭遇した自殺者の霊」

都内で事務の仕事をしている加奈さん(仮名・32歳)。ご自宅は千葉県某市で、通勤時間は電車で約1時間とのことです。毎日の通勤ラッシュはなかなかキツいそうですが、地元で働く彼と同棲していることもあり、引っ越しは考えていないそうです。相談のお電話は夜中に頂戴しました。「幽霊を見たんです」震える声でそう話す加奈さんの背後からは、ただならぬ邪気が流れてきており、霊にかかわる相談であることがすぐわかりました。

その日、加奈さんは普通に会社を定時で上がり、いつもの通勤路線を使って自宅に戻っていたそうです。スマートフォンでニュースサイトを見ていた加奈さんは、昼間、最寄り駅で人身事故があった、という記事を読みました。事故は昼間に起きたようで、現在は処理も片付き、ダイヤも元通りになっている、とのことで、加奈さんはあまり気にせず、そのまま最寄り駅で電車を降り、改札に向かおうとしたそうです。

その時、駅のホームの片隅で、不審な人物を目撃しました。自分と同い年か少し上くらいの女性で、うつむき加減でホームの淵ぎりぎりの場所に立ち、何かをブツブツとつぶやいています。何を言っているかは聞きとれませんが、尋常ではない雰囲気がありました。加奈さんと一緒に降りたほかの乗客たちは次々と改札に向かっていき、ホームはその女性と加奈さんだけに。そんなホームに「急行電車が通過します」とのアナウンスが響きました。 加奈さんは勇気を出してその女性に「危ないですよ」と声をかけたそうです。

すると、うつむき加減の女性は加奈さんの方を振り向き……その顔は血でべっとり汚れていたそうです。あまりの不気味さに「ひいっ!!」と声を上げて、その場でうしろに尻もちをついた加奈さん。その目の前を急行電車が通過していき、気付くと顔面血まみれの女性は消えていました。

「あの人は、もしかして昼間の人身事故で死んだ……」さっき見た人身事故のニュースを思い出し、加奈さんの背筋にゾワゾワと寒気が走りました。なんとか力を入れ、身を起こし、ふらふらとした足取りで改札を出、すぐに彼に電話を入れようとしたそうです。しかしその晩、彼はタイミング悪く親戚の法事で家を開けていることを思い出しました。仕方なくコンビニに寄って自宅マンションに帰り、家中の電気をつけっぱなしにして、テレビの音量も大きめにしていたものの、不安になり……。そうして電話占い尼子の鑑定を利用した、とのことでした。尼子はよく買っていた女性情報誌に載っていて、それを見てご利用されたそうです。

加奈さんがその自殺者の霊に憑かれていることは、漂ってくる邪気でわかりました。加奈さんの背後から、この世のものではない存在の気配と「この女性も同じように引きずりこんでやろう」という禍々しい念が漂っていたからです。しかし、独りで一夜を過ごすご相談者様を不安にさせたくない、ということで、「邪念が憑いていますね。霊を見たことと、事故現場に長くとどまったことによるものでしょう。邪気祓いをしますので、落ちついて深呼吸をして下さい」とだけご説明しました。そして、邪気祓い、という名の下、除霊を行いました。

除霊自体は簡単でした。たまたま加奈さんに目をつけただけの不浄霊で、もともと強い因縁があるわけではありませんでしたので、『この人はあなたと関係ありません。出ていきなさい』と何度も命令すると、すぐに離れていきました。「もう大丈夫ですよ」と話すと、「ありがとうございます。実はさっきからずっと寒気がしていたんですけど、それが急になくなりました。邪気祓いが効いたのがわかりました。ありがとうございました」とおっしゃり、そうして除霊鑑定は円満に終了しました。

都会で暮らす社会人の方であれば、通勤路線での人身事故はそれほど珍しい話ではありませんが、ごく稀に、加奈さんのように運悪く自殺者の霊と接触してしまい、そのまま憑依されてしまうことがあります。そういった霊は、憑依された直後であれば決して恐れるに足りません。もともと因縁の強い関係ではありませんので、除霊ができる霊能者であればすぐに引き離すことができるでしょう。

しかし、放っておくと霊体との結びつきがどんどん強まってしまうことがあり、そうなってからでは危険です。精神を失調したり、酷い霊障に苛まれたりして、霊と同じ末路に引きずり込まれてしまう恐れがあります。もし駅や電車で妙なものを見てしまった場合は、すぐに我々にご相談ください。霊の憑依には迅速な除霊が最も重要なことなのです。

尼子の百物語 / 第十話「駅のホームで遭遇した自殺者の霊」