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尼子の百物語

第三十八話「戦時中の霊が彷徨う学校」

以前、望さん(仮名)という方から受けた相談です。望さんは小学校の先生をされており、その時教鞭をとっておられたのは、赴任校としては3校目にあたる学校だったそうです。赴任した当初から何か不思議な雰囲気のある学校だと思っていたそうなのですが、入ってしばらくして耳にした学校の七不思議に、ピンときました。望さんは生まれつき霊感が鋭く、時々奇妙な体験をすることがありました。いないはずの人影を見たり、しないはずの声を聞いたり、物が勝手に動くポルターガイスト現象が起きたり、そんな心霊現象に馴染みのあった望さんは、すぐにこの学校が霊の影響を受けやすい場所にあるのだとわかりました。何か起きるかもしれないと、望さんは少し心配になりました。

しかしながらその心配とは裏腹に、穏やかに時間は過ぎていき、何かの気配はあるけどそれだけなのかもしれない、と思っていたある夏の日のことです。望さんは吹奏楽部の生徒たちと学校で夏合宿をすることになりました。部活の合宿と言ってもまだまだ小学生の合宿なので、練習と言うよりは遊びやお楽しみがメインの合宿です。昼はプールに入り、夜はみんなで家庭科室でカレーを作り、空いた教室にマットを敷いて雑魚寝。マットの上では夏の風物詩のような、怪談話で盛り上がりました。

子どもたちが寝静まった真夜中のことです。望さんはしくしくと、子どもの泣く声で目を覚ましました。誰か家が恋しくなって泣いているのかもしれないと、体を起こそうとしましたが、なぜか指一本も動きません。一瞬パニックになりそうになりましたが、すぐに金縛りだ、と気づきました。子どもの泣く声はだんだんと望さんに近づいてきます。そして聞こえてくる音は声だけでなく、大勢の人の足音や、ごおっという強い風の音も混じり始めました。

こんなことは今までに経験したことがなく、望さんはぞっと背筋が凍りつくような寒気を覚えました。しかし、次の瞬間には体がとても熱くなり、その熱さのあまり体を動かそうとしましたが、金縛りによって動くことができません。熱くて暑くて、まるで燃えてしまうかのようで、あまりの辛さに望さんの目からは涙がこぼれました。そして気が付くと、朝になっていました。

その体験があまりに鮮烈で、いったいあれは何だったのか、学校の生徒たちに悪影響はないのかと相談をいただいたので、霊視させていただきました。望さんの勤めている学校を霊視して初めに見えたのは、炎でした。どうやら学校の建っている周辺が、第二次世界大戦のさなか空襲に遭い、大勢の人が焼け死んでいるようでした。望さんにそのことを話すと、はっとして「あの時味わった熱さは、炎に呑まれて亡くなった人の…」とつらそうに呟かれました。

戦争で命を失った人の恐怖や悲しみ、悔しさなどがその土地にはまだ残っていますが、今まで多くの人が弔ってきたおかげで、少しずつこの世を彷徨っている霊魂は成仏してきています。今回のことは、霊たちが霊感のある望さんに自分たちの存在を知ってほしくてやったことでした。望さんには「学校の片隅でいいので、時折お花ときれいなお水を供えてあげてください。それだけで大丈夫です」とアドバイスしました。

後日、望さんから「お花とお水をお供えして、それを続けていたら、学校の空気が軽くなってきたように感じます」とご報告をいただきました。成仏したいけれどまだこちらに心を残していた霊たちが、救いを求めて望さんへと訴えた今回の心霊現象ですが、実のところ、対処を間違え霊魂をおろそかに扱えば、霊が悪霊へと変わってしまう危険もあったケースです。身近で起きた心霊現象でお悩みの方は、イタコや霊能者などの、その道のプロにぜひご相談ください。

尼子の百物語 / 第三十八話「戦時中の霊が彷徨う学校」