陸奥国の神秘・電話占い
menu
尼子の百物語

第八話「インターネットで受けた凄まじい恨みの念」

「心霊現象に遭って困っているのですが、心当たりが全くないのです」

そう電話越しに話されたのは、神奈川県川崎市にお住まいの麻衣さん(仮名・38歳)。お子さんがいらっしゃる専業主婦の方のようでした。かなり裕福な暮らしをしておられるようで、愛情運、金銭運ともに申し分ないほど恵まれた運気を感じます。ですがそれに似つかわしくないほどの凄まじい怨念を感じ取ることができました。すぐに霊視をした結果、確かに麻衣さんの背後には悪意に満ちた存在が取り憑いていることを確認。さらに、それは死者霊ではなく“生霊”でした。生きた人間の霊体の一部が飛び出し、悪意となって麻衣さんに取り憑いていたのです。一体なぜ……。その理由を解明するため、私は霊能力を用いて時間を飛び越え、麻衣さんの“過去”を遡ることにしました。

過去透視の結果。ある日を境に、麻衣さんの身の回りでラップ音が起きたり、物が勝手に落ちたり、妙な気配がしたりするようになったことが判明しました。その日は雨降りの月曜日。前日に家族で買物に行ったこともあり、麻衣さんは一度も外出しませんでした。旦那さんと息子さんと一緒に朝食を取り、ふたりを送り出し、家事を一通り済ませた後は、日課のインターネット。麻衣さんは最近ネット上で農園を作るゲームにはまっており、毎日こつこつと自分のオンライン農園の手入れをしているようでした。

ですがその日、麻衣さんはゲームの中でおかしな人に絡まれてしまったようです。通りすがりの人から突然「アイテムをよこせ」と言われたのです。当然、データとはいえ見ず知らずの人に何かをあげる義理はなく、麻衣さんは「嫌です」と断ったそうですが、いきなり逆上した相手は「暇な主婦がネットばっかやってんじゃねえ」「お前みたいな奴が一番むかつくんだ」と捨て台詞を残し、そのまま消えていきました。麻衣さんは「かわいそうな人」とだけ思ってすぐに忘れてしまったそうですが、やはり生霊の相手はその人でした。

“幸せそうにしやがって…傷つけてやりたい…”

なんと、その相手は見ず知らずの麻衣さんを延々と逆恨みし続け、黒魔術の真似事をして、麻衣さんの不幸を願っていたのです。術としては不完全なものでしたが、彼の恨みは実際に生霊となって麻衣さんの元まで届き、異変をもたらしていました。凄まじい念でした。ですが麻衣さんを恨んでというよりも、むしろ偶然見つけた麻衣さんに対して積もり積もったネガティブな感情をぶつけているようでした。麻衣さんの側からすれば、まるで通り魔にでも遭ったかのような話です。

霊視の結果、生霊の相手はちょうど麻衣さんと同い年の独身男性であることが判明。実家で長年引きこもり、毎日インターネットばかりしている方でした。彼の部屋には現実社会に対するあらゆるネガティブな感情が渦巻いており、大変な瘴気で満ち溢れていました。そんな彼がゲームの世界で見つけた麻衣さんのアカウント。仲間との和気あいあいとしたやり取りが目に入り、ネガティブな感情がそこに向かって一気に集中したのです。

“主婦のくせに…女のくせに…許せない…”
“憎い…傷つけてやりたい…破滅しろ…破滅しろ…”

生霊からは理不尽な恨みの念がひしひしと伝わってきます。一体どうしたら見ず知らずの相手にこれほどまでの恨みをぶつけられるのか……。麻衣さんは完全な犠牲者でした。私は“この生霊は除霊するしかない”と悟り、詳細な霊視結果を告げた後、除霊術を実行しました。除霊自体は簡単なものでした。素人の魔術が恨みの念によって発動しただけだったので、それを跳ね返し、彼自身に降りかかるように仕向ければそれで事足りました。

“どうして…どうして自分だけが…なぜ…”

そんな怨嗟の声を残し、生霊は麻衣さんの元から離れていきました。最後に私は麻衣さんに気を送り、霊的な衰弱を癒しました。そんな鑑定から数週間後、麻衣さんからお礼のメールが届きました。「あれから心霊現象は一切起きなくなりました。本当にありがとうございました」という内容でした。事態の解決を告げていました。

通常、現実世界において、見ず知らずの人からひどい恨みを買うような事態はまず起こりません。物事は必ず“因果”に沿って動きます。恨みには必ず原因があり、何かしらの行動の結果として悪いことが起こります。ですが、近年浸透したオンラインの世界の場合、決してそうとは言い切れません。

霊的見地から言わせていただくと、インターネットの世界はそれまで決して繋がるはずのなかった縁が容易く繋がり、“因果”を無視した事態が頻繁に発生する、大変特殊な環境です。実は、麻衣さんのようなケースはここ数年多くなっています。掲示板やSNSなどで見ず知らずの他人から謂われのない“悪意”を受けてしまうのです。これは一見便利なインターネットに潜む“罠”のひとつであると言えるでしょう。それが原因で人生が暗転してしまった方も多数いらっしゃいます。心当たりがある方は、ぜひ霊能者にご相談下さい。

尼子の百物語 / 第八話「インターネットで受けた凄まじい恨みの念」